荻田氏コラム 「POLEWARDSで挑む南極点無補給単独徒歩到達」Vol.02〜挑戦〜
NEWS | 2017.07.25
荻田氏コラム 「POLEWARDSで挑む南極点無補給単独徒歩到達」Vol.02〜挑戦〜
そしていま、私の大きな目標は2017年末に計画している「南極点無補給単独徒歩到達」である。POLEWARDSのロゴにも描かれ、南極観測隊で磨かれた「POLEWARDS原点の地」とも言える南極に挑戦する。
計画では、南極大陸の海岸線に当たるヘラクレス入江という場所から南極点まで、1130kmを一人でソリを引きながら踏破する。途中では食料などの物資再補給を受けることなく、自分の力だけを頼りに55日ほどかけて南極点到達を目指す。南極の内陸部は、数十万年かけて雪が厚く堆積することで氷となった「氷床」に覆われており、南極点も標高2800mを超える。つまり、標高0mの海岸線から2800mの高地までを登っていかなければならない。1130kmの長距離に加え、南極点まで続く登り坂という環境で身体的な消耗は計り知れない。そのような環境において自分の命を預ける衣類は、もっとも重要な装備品であると言っても良いだろう。
2017年3月、私は南極点挑戦に向けたトレーニングと装備テストのためにカナダ北極圏を訪れていた。そこに持ち込んだPOLEWARDSの新型ジャケットは、ベンタイルを用いた北極仕様のウェアだった。ベンタイルとは、コットンを高密度に織り上げた100%天然素材の生地であり、従来のアウトドアウェアで使用される化学繊維の防水透湿素材とは一線を画すものだ。
そもそもベンタイルとは、戦闘機のパイロットが冷たい海に不時着した時にも救助が来るまで水の侵入を防ぎつつ、それでいて通気性と透湿性を得られるような衣類として開発された生地だ。当時まだ化学繊維の防水透湿素材が存在しなかった時代に多く使用された。
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