南極では吐く息が白くならないって本当?そのメカニズムについて

2019.12.03 | COLUMN

 

冬が近づくにつれて、だんだんと白くなっていく自分の息。

吐く息が白くなる現象は、なにも極寒地に限ったことではありません。日本に住まう私たちも、早朝、自分の白い息から冬の訪れを感じることもあります。

その一方で、極寒地として知られる南極では白い息が出ないことをご存知でしたか?

真冬は-20度にも達する南極。なのに息が白くならない。南極で起こる不思議な現象について、理由やメカニズムを中心に詳しくご紹介します。

1 寒い場所ではなぜ息が白くなるのか

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そもそも寒い場所ではなぜ息が白くなるのか、そのメカニズムをご存知でしょうか?

簡単に言ってしまうと、白い息の正体は私たちの息に含まれる「水蒸気」です。人間の体温は35~36度が平均ですが、息の温度は体温よりも少し高い37度前後。

温かい息が真冬の外気によって急激に冷やされることで、小さな水滴となって目に見えるようになります。

この水滴が、まるで「白い息」のように見えていたわけです。

ちなみに白い息は、息に自体に含まれる水分量はもちろん、外気の湿度や塵埃の量とも密接に関係しています。

極端な話、湿度が低く塵埃がほとんどない場所では息を吐いても白くなりません。

2 南極では吐く息が白くならない

冒頭でも説明した通り、南極では吐く息が白くなりません。

息が白くなる現象のメカニズムさえ理解できれば、南極で吐く息が白くならない理由を察した方も多いはず。

ポイントは、空気中を漂う塵(ちり)や埃(ホコリ)の量。

水蒸気が水滴になるためには、多少なりとも塵や埃が必要です。しかしながら、分厚い氷で覆われた南極では砂ホコリが立つこともありません。車も電車もないため、当然ながら排気ガスもありません。

南極は、私たちの生活する日本よりもはるかに空気が澄み切っているのです。

空気中を漂う塵の量の少ない南極では、吐いた息が外気によって急激に冷やされたとしても水滴になりません。

その結果として、南極では息を吐いても白くならないというわけです。

3 -50度以下になると息が白くなる可能性もある

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たとえ空気の澄み切った南極であっても、外気温が-50度を下回ると吐く息が白く見えることもあるようです。

これは私たちの息に含まれる水蒸気が、猛烈な寒さによって瞬く間に氷の結晶へと変化します。この氷が、白い息のように見えるというわけです。

とは言っても-50度の猛烈な寒気に襲われることなど通常であれば考えられません。

ちなみに南極の中でも寒さの厳しい内陸部の平均気温は、-55~57度前後。

極寒地として知られる南極でも、ごく限られた一部の地域でのみこの現象が起こる可能性があります。

4 もし南極で吐く息が白くなったら環境汚染のサイン?

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先ほども説明した通り、南極で息が白くならない理由は、空気中を漂う塵や埃の量が極めて少ないからです。

基地や研究施設を除き、家や建物もなければ道路も車も電車もありません。

言い換えれば、空気中を漂う塵埃の量が増えることで、南極でも白い息を観測する可能性も考えられます。

近年、観光地化が著しい南極。広大な自然を一目見ようと、観光に訪れる方も増えてきています。加えて、地球温暖化の影響により、氷の溶解が急速に進んでいるのも事実。

もし今後、南極で吐いた息が白くなるようであれば、それは環境汚染が進行しているサインかもしれません。

白い息すら出ない。澄み切った空気の南極

今回は、南極ではなぜ白い息が出ないのか?、そのメカニズムについて詳しくご紹介しました。

息の中に含まれる水分、そして外気の湿度と塵埃が白い息を作り出します。

一方で南極には、水滴の形成に必要な塵や埃もほとんどないため、息を吐いても白くならないわけです。

それほどに空気が澄み切っているということを意味しています。

これから先も、南極の素晴らしい自然と澄み切った空気を守っていきたいですね。

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