極寒の南極にはどのような服装と装備が必要なのか?

COLUMN | 2020.01.10

分厚い氷と雪に覆われた南極大陸。

年間通して平均気温は-20度を下回ることでも有名な、言わずと知れた極寒地です。加えて、南極特有のカタバ風(滑降風)のような猛烈な風が吹けば、体感温度は-40度下回ることもあります。

ではもし、そんな南極大陸に訪れるとしたら一体どのような服装をすれば良いのでしょうか?

今回は、極寒地である南極に訪れる際に必要な服装、そして装備を中心に詳しく見ていきましょう。

1 訪れる南極の場所によって装備は異なる

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結論から言ってしまうと、具体的に南極のどこに訪れるかによって服装や装備は大きく変わります。

例えば、南極クルーズ観光などでも人気な南極半島であれば、そこまで厳重な装備は必要ありません。もちろん私たちが普段生活している都市部よりも気温は低いため、ある程度の防寒性に優れたウェアを用意しておく必要はあります。

一方で、南極大陸の中心部「南極点」を目指すような場合はそうもいきません。

南極大陸は沿岸部よりも中心部の方が、寒さの度合いも桁違い。万全の服装と装備をしなければ、-20度を下回る凄まじい寒さに耐えることはできません。

「南極」という言葉で一括りにするのではなく、南極半島なのかそれとも南極大陸の内陸部なのか、訪れる場所の気候を考慮した服装を心がける必要があります。

2 南極の気候には2種類ある

服装と装備について見る前に、まずは南極の基本的な気候について確認しておきましょう。南極の気候には、大きく分けて「海洋性気候」と「大陸性気候」という2つが存在します。

2-1 海洋性気候

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海洋性気候とは、南米に向かって細長く突き出る「南極半島」で見られる気候のこと。最低気温と最高気温の差が小さく、降水量も多いという点が特徴です。

気温も比較的高く、一般的な「南極」というイメージとは少し異なるかもしれません。

暖かく温和な気候であることから、観測基地の多くも南極半島に集中しています。

2-2 大陸性気候

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一方で、南極半島以外の南極は「大陸性気候」に分類されます。前述した海洋性気候とは真逆で、気温が非常に低く、昼夜の気温差も非常に激しいという点が特徴です。

降水量も比較的少ないため、空気も乾燥しています。

ちなみに、日本の南極観測地点「昭和基地」の位置するリュッツォホルム湾 東オングル島も大陸性気候です。

3 南極半島に訪れる際の服装と装備

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まず肌着には、吸汗速乾性と発熱性に優れた機能性インナーを上下で。そしてその上からウールニットやフリースを着用して防寒性を高めます。

最後に防水性の高いアウターとボトムスを着用すれば、ひとまず防寒対策は安心です。可能であれば、手袋、ネックウォーマー、ニット帽なども活用します。

そして忘れてはならないのが、ゴム長靴です。

南極半島の中でも沿岸部周辺は苔や地衣類がたくさん生えています。そのため岩場などは特に滑りやすく、グリップ力の高いゴム製の長靴が必須というわけです。

後ほどご紹介する南極大陸の中心部と比べると比較的温暖な気候ではあるものの、薄着では太刀打ちできません。南極の天候は変わりやすいため、万全の準備が必要です。

4 南極大陸の内陸部まで訪れる際の服装と装備

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南極大陸の中心部は非常に寒いため、厳重な装備が必要です。準備すべきアイテムは、前述した南極半島の時よりも圧倒的に増えます。

4-1 役割の異なるレイヤーごとに装備する

極寒地への装備について考える際、レイヤーごとに分けて用意する必要があります。レイヤーは大きく分けて、ベース・ミドル・断熱・防風・アウターの5つ。

それぞれの役割の基本的なアイテムについて見ていきましょう。

ベースレイヤー

ベースレイヤーとはその名の通り、一番下に着用するウェアのことです。

機能性に優れた長袖のインナーシャツにタイツが基本。ここでポイントとなるのは「機能性」。通常のコットン製品では汗の乾きが遅いため、汗冷えを起こしてしまう可能性があるからです。

ベースレイヤーには必ず吸汗速乾性と発熱性に優れた機能性インナーを着用します。

ミドルレイヤー

ベースレイヤーの上に着用するのがミドルレイヤーです。基本的には、薄手のフリースをトップスとボトムス上下で着用することで、耐寒性を高めていきます。

ミドルレイヤーに関しても、可能な限り吸汗速乾性に優れた機能性素材の製品を選ぶのが理想です。

断熱・防風レイヤー

ベースレイヤー、ミドルレイヤーに続きまだまだ重ね着が続きます。

今度はミドルレイヤーの上から、断熱レイヤーと防風レイヤーを着用していきます。

断熱レイヤーには軽量性と断熱性に優れた中厚手のフリースを。防風レイヤーには、防風性に優れたソフトシェルのジャケットとボトムスを着用するのが基本です。

これでようやく高い断熱性と防風性を確保することができました。

アウターレイヤー

最後に着用するのが、アウターレイヤーです。アウターレイヤーというと難しく聞こえますが、簡単に言ってしまうと断熱性に優れたジャケットのことです。

可能であればフィルパワーの高いダウンを着用するのが理想とされています。

いかがでしたでしょうか?こんなに何枚も重ね着することは日常生活ではあり得ません。しかしながら南極という極寒地では、ここまで着込んでもまだ寒さを感じるほどの厳しい環境が待っています。

4-2 足元は特に極地仕様のブーツ

極地において特に重要なのは、足元です。

基本的には、氷点下50度以下にも対応可能な極地仕様のブーツを着用が必須です。

通常のシューズでは-20度を下回る気温に耐えることができません。ただでさえ血液の循環が悪くなる極寒地では、末端部分が凍傷を起こしてしまう可能性も考えられます。

4-3 防寒性を高める小物類も必須

たとえ小物であっても決して欠かすことはできません。

まず頭部は耳当てのついたニットキャップやビーニー、ネックウォーマー、そしてフェイスマスクを重ねて防寒性を高めます。雪面からの照り返しを防ぐためにも、サングラスやゴーグルも必須です。

手袋に関しては、まずライナーグローブの着用しその上から厚手の断熱グローブを装着します。手袋一枚では末端の防寒性が低くなってしまうからです。

4-4 簡易トイレ

意外と見落とされがちなのが、簡易トイレです。

数日にわたって南極に滞在する場合は、当然ながら排泄を行う必要があります。しかしながら、環境保護の観点から野外で用を足すことはできません。

排泄物に含まれるわずかな微生物が、南極の生態系や環境に大きな影響を与えてしまう可能性もあるからです。

簡易トイレの利用は、南極における最低限のルール。常設トイレを利用できない場合に備えて、しっかりと用意しておく必要があります。

極寒の南極では服装と装備が生命線に。

今回は、南極に訪れる際に必要な服装と装備について詳しくご紹介しました。

一口に南極といっても、沿岸部なのか大陸中心部なのかによって用意すべきものは大きく異なります。

クルーズ観光のように沿岸部での活動が中心となる場合は既に持っている服装で事足りるかもしれません。しかしながら寒さの非常に厳しい内陸部へ訪れる場合、話は別。

レイヤーごとにしっかりと着込んだのち、グローブやニットキャップを始めとした小物を駆使しながら万全の防寒対策を行わなければ命に関わります。

大自然の前では私たち人間はとても脆く弱い存在です。とりわけ極寒地の南極では、服装と装備が生命線になることは間違いありません。

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