南極でも地震は起こる?そのメカニズムや過去に起こった巨大地震について解説
COLUMN | 2020.04.03
一般的に地震といえば、私たちの住まう地震大国・日本が真っ先に思い浮かびますよね。
でも実は、分厚い氷床に覆われた極限の地「南極」でも地震は起こっていると言われています。ちなみに、以前まで南極はほとんど地震が起こらない場所として認識されていました。
もちろん日本ほどではないものの、なんと過去にはマグニチュード7クラスの巨大な地震を観測したというデータも残っているほど。
今回はあまり知られていない南極の地震について、その概要や過去に起こった地震に至るまで詳しくご紹介します。
1 南極は日本に比べて地震が起こりづらいって本当?
南極は、私たちの住まう日本と比べると地震の発生回数もかなり少ないと言われています。
そもそも地震を起こす最も大きな要因と言われているのが、地球を包み込む巨大な岩の板、「プレート」の存在。このプレート同士がぶつかったり、別のプレートの下に潜り込んだりすることで地震が発生すると考えられているのです。
また、プレート同士の境目に位置する国では地震が頻繁に起こることで知られています。
ちなみに日本が跨っているプレートは、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレートの4つ。地震が頻発しているのも納得ですね。
一方で南極は日本のようにプレート同士が複雑に入り組んでいるわけではありません。また南極大陸にある「南極プレート」はほとんど動かないため、地震の発生回数も比較的少なくて済んでいるわけです。
ただし後述する通り、近年はその考え方も少しずつ変わりつつあります。
2 近年は南極でも地震が増加している?
これまで「南極ではほとんど地震が起こらない場所である」という考え方が通説でした。
確かに地震大国とも呼ばれる日本と比べればその発生回数こそ少ないものの、南極は地震のほとんど起こらない場所であるという通説は変わりつつあります。
実は地震を感知する「地震計」の設置数が増えてから、小さな地震を頻繁に観測するようになったというデータもあるのだそう。
つまり近年南極で地震が増加しているのではなく、単にこれまでの間、地震を感知するセンサーの数が少ないだけだったという可能性があるのです。
地震観測網システムが進化すれば、南極大陸でより多くの地震が観測されるようになる日がくるかもしれません。
3 南極で過去に起こったM7.9クラスの巨大地震
国立極地研究所によると、南極では過去にM7.9の巨大地震を観測したこともあるのだとか。
確かに近年「南極 = 地震が少ない」という認識は改められつつあるものの、M7.0を超える巨大地震はこれまで観測されたことはほとんどありませんでした。
その巨大地震が起こったのは、今から20年以上も前の1998年3月25日。南極海に浮かぶバレニー諸島付近、南緯63.5度、東経150.6度地点でマグニチュード7.9の地震を観測。
とは言っても日本の南極観測地点「昭和基地」でも、地震計が揺れを感知しただけで基地で暮らす人が揺れを感じる地震(有感地震)ではなかったと言われています。
4 極地特有の地震の1つ「氷震」
一般的な地震とは少しメカニズムの異なる地震の1種、「氷震」と呼ばれる現象をご存知でしょうか?
氷震とは別名「氷河性地震」や「氷河地震」とも呼ばれ、凍土や氷河に亀裂が生じる際に起こる地震の1つです。
とは言っても私たちのイメージするような大きくグラグラと揺れる地震とは異なり、揺れのエネルギーは比較的小さめ。
仮に一般的な巨大地震に匹敵するクラスの氷震が起こったとしても、氷震は数十分にわたってゆっくりと揺れるため、地震計でなければ揺れに気づかないことも多いのだとか。
南極の他に、グリーンランドも氷震が起こることで知られています。
今後は、南極周辺の地震活動にも注意が必要
今回は、南極で起こる地震について詳しくご紹介しました。
これまで南極は地震大国の日本と比べ、年間を通しての地震発生回数も比較的少ないと考えられてきました。しかしながら、それはあくまで揺れを計測するセンサーの設置数が単純に少なかったという点が主な理由です。
センサーの設置状況と観測次第では、「南極 = 地震の少ない場所」であるという通説はひっくり返るかもしれません。
今後は、南極周辺の地震活動にも注視してみると面白いかもしれませんね。