隕石の7割は南極で発見されたものだった!隕石採集場としての南極について
COLUMN | 2020.02.18
各国の研究基地が集まる南極。例えば、日本の観測隊員の暮らす昭和基地では、極地という特殊な環境における研究と調査が行われています。
そんな極地研究の場として有名な南極。実は、宇宙からやってきた「隕石」の採集地という一面を併せ持つことをご存知でしたか?
実際、現存する隕石の大半は南極で採集されたものがほとんど。
今や南極は単なる極地研究という枠を超え、未知なる宇宙や宇宙空間に存在する物質の謎を紐解く上で非常に重要な役割を果たしています。
今回は、意外と知られていない「隕石採集の場」としての南極にフォーカスし、南極で発見された隕石の特徴や、南極に多くの隕石が集中する理由に至るまで詳しくご紹介します。
1 現存する隕石の70%は南極で採集されている
意外と知られていない事実かもしれませんが、実は現存する隕石の約70%は南極で採集されたものです。
ちなみに分類上は、南極で発見された隕石を「南極隕石」それ以外を「非南極隕石」と呼ぶことからも、南極で発見される隕石の割合の圧倒的大きさを見て取れます。
南極が隕石採集の地として知られるようになったきっかけは、実は日本の南極観測隊。
1969年に観測隊員がやまと山脈と呼ばれる山の付近で大量の隕石を発見。この一大ニュースがきっかけとなって、他国も続々と隕石採集に乗り出したと言われています。
2010年時点で、南極隕石の総数はなんと4万8000個。そのうち約1万7000個は日本が保有しています。
2 南極で発見された隕石の特徴
南極で発見された隕石(南極隕石)は、非南極隕石と比べいくつかの特徴を有しています。
まずは数と種類が圧倒的に多いこと。南極観測隊員が1969年に大量の隕石を発見するまでの長い間、隕石の数は少なく、発見されることも非常に稀だったと言われています。
そして非南極隕石と比べ、発見が容易であるという点も特徴の1つ。
地中深くに眠っていたものを掘削して発見したわけではなく、氷雪の上にまるで道端の石ころのように落ちているものを拾うことが多かったのだそう。
また南極という特殊な環境も相まって、隕石自体の風化や汚染も少なく状態も良好なものばかり。非南極隕石よりも扱いやすく、隕石研究の発展にも寄与したと言われています。
3 なぜ南極には隕石が多く集まるのか?
南極で発見される大量の隕石。では、なぜ南極には沢山の隕石が集まっているのでしょうか?
前提として隕石は地球上のほぼ全ての場所に対して、ほとんど同じ割合で落下しています。特定の場所にのみ隕石が降り注いでいるわけではありません。
そこでポイントとなるのは、「発見のしやすさ」。まず南極の氷床に降り注いだ小さな隕石の欠片は、氷床の内側へとめり込みます。
この隕石を抱えた氷床が時間の経過とともに徐々に内陸へと移動し、やがて山脈へと衝突。
ぶつかった氷床は山に沿って反り上がます。その部分が南極特有のカタバ風等によって削られた結果、氷床の内側で眠っていた隕石が地上へと露出するというメカニズムです。
なので隕石が集まっているというよりも、正確には「発見しやすい」と表現の方が適切かもしれませんね。
4 やまと山脈とやまと隕石
数多くの隕石が発見されてきたやまと山脈。実は、日本の南極観測拠点の1つとして知られる昭和基地の近くに位置しています。
そんなやまと山脈で発見された隕石は、他の隕石と区別して「やまと隕石」と呼ばれるほど。ちなみに多数の隕石が一箇所に集中していたケースは、やまと山脈を除いて前例はほとんどありません。
状態の優れたやまと隕石は、宇宙研究を歩みを加速させるきっかけとなったと表現しても過言ではないでしょう。
これから先も、やまと山脈付近では、宇宙の謎を解き明かす多数の隕石が発見が発見されるかもしれません。
南極隕石の発見は、宇宙の謎を解き明かすヒントに
ポールワーズでは、これまで「極地研究の場」としての南極について度々記事内で触れてきました。
現在は単なる極地研究の場という枠を超えて、「隕石採集の場」という新たな役割を担っているということがお分りいただけたかと思います。
現存する隕石の70%が南極で採集され、今や「南極隕石」と呼ばれるほどに。
今後も南極で採集された隕石から、謎に満ちた「宇宙」をという空間を解き明かす重要なヒントが見つかるかもしれません。