北極域の「永久凍土」とは一体何なのか?わかりやすく解説!

COLUMN | 2020.01.07

 

突然ですが、皆さんは「永久凍土」というものをご存知でしょうか?

学生の頃、地理などで少し習った方も多いかもしれません。近年は地球温暖化や環境問題に関する文脈でも、永久凍土に関するトピックが取り上げられることもあります。

膨大な天然資源、そして古代の生物「マンモス」が眠っているのも北極域の永久凍土です。

最近では、永久凍土から見つかった4万年前の線虫を生き返らせることに成功したというニュースで研究者たちからも関心を集めました。

今回は、未だ多くの謎を秘める「永久凍土」について、地質学的な概要を確認しつつ、永久凍土が地球にもたらす影響についてご紹介いたします。

1 そもそも「永久凍土」とは何か?

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永久凍土とは、簡単に言ってしまうと「2年間以上にわたって温度0℃以下の土壌や地盤」のこと。凍土の厚さは1mから400m程度のものまで様々。

北半球を中心に、寒帯の1つとして知られるツンドラ気候下で形成されるのが一般的です。具体的にはシベリア、グリーンランド、アラスカ、カナダ北部などで多く見られます。

ちなみに地球上における陸地面積のおよそ20%は永久凍土であるとも言われるほど。

かねてよりマンモスを始めとした古代の動物や天然資源を安定的に貯蔵する「保管庫」のような役割を果たしてきました。

永久凍土周辺ではタイガを始めとした針葉樹林やコケ類などが育つことも多く、トナカイが生息していることもしばしば。

また永久凍土には、地中に点在する「不連続永久凍土」と途切れずに続く「連続永久凍土」の2種類が存在します。シベリアを中心とした極寒地帯では、連続永久凍土が中心です。

2 北極の永久凍土の下に眠る膨大な資源

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近年、北極域の永久凍土に眠る膨大な天然資源に注目が集まっています。

そもそも世界における天然資源の約25%は、北極域にあると言われているほど。

石油などの鉱物資源はもちろん、特に重要なのが「メタンハイドレート」と呼ばれる物質。別名「燃える氷」とも呼ばれるメタンハイドレートは、今最も注目されている天然資源の1つです。

北極には南極のような包括的な条約も存在しないため、沿岸国は次々と資源開発に着手しています。

ただし、あくまで北極を行うことができるのは沿岸国のみ。各国それぞれの排他的経済水域が設定されています。そのため沿岸国以外が開発を行う場合は、沿岸国の同意が必要です。

3 北極の永久凍土が融解するとどうなる?

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3-1 温暖化を進行させる可能性

前提として、永久凍土の融解(凍土融解)は主に地球温暖化によって引き起こされるものです。そして融解が進むにつれて地球温暖化の進行を加速させてしまう可能性があると言われています。

その原因は、永久凍土に含まれる「メタンハイドレート」。

前述した通りメタンハイドレートは代替資源として注目を集める一方、メタンハイドレート自体が融解すれば、地球温暖化に大きな影響を及ぼす「温室効果ガス(メタンガス)」を放出する可能性も。

永久凍土内の膨大なメタンガスが大気中に放出されれば、地表の温度をさらに上昇させ、地球温暖化を激化させてしまうことも考えられるわけです。

3-2 未知の病原菌が再び地上に?

研究者たちの間では、地球温暖化に伴う融解によって、永久凍土に眠っているウイルスや病原菌が再び地上に現れるのではないかと懸念されています。

その未知なる脅威から、永久凍土は「時限爆弾」と呼ばれることもあるほど。

実際に2016年には、ヤマル半島の凍土に眠るトナカイの死骸が地上へと露出。このトナカイに感染していた炭疽菌が原因となって自治管区内の少年1名が死亡する事案も発生しました。

永久凍土に眠る生物たちは地質学的にも非常に重要である一方、その生物に感染していた古代の恐ろしいウイルスたちを復活させてしまう危険性も孕んでいると言われています。

3-3 急激な地形変化や地盤沈下を引き起こすことも

永久凍土の融解によって、急激な地形変化や地盤沈下を引き起こすことも。融解によってもたらされる地盤沈下には主に4つのステージが存在します。

ステージ 原因 地表状態
1 ビラー 地中くさび形の凍土「アイスウェッジ」の融解 陥没が発生しポリゴン状になる
2 デュエデ 融解が進行し沈下が進行 小さな湖沼をする
3 トゥンプ アイスウェッジが全て融解 地盤が大きく沈下し湖沼が水で満たされる
4 アラス 湖沼の水が乾ききる 大きく陥没した地形が姿を現す

こうした永久凍土の融解によって変化した地形は「サーモカルスト地形」とも呼ばれ、融解する永久凍土が大きければ大きいほど地盤沈下も大きくなります。

永久凍土は諸刃の剣

今回は北極域の永久凍土について詳しくご紹介しました。

永久凍土は、天然のエネルギー資源はもちろん、地球の歴史を辿る上で重要な古代生物たちを保存する上でも非常に大切な役割を果たしています。

一方で地球温暖化の影響を受け、その融解が進行しているのも事実。融解が進めば進むほど、永久凍土内のメタンガスが放出され、温暖化に拍車がかかってしまう可能性もあります。

そして皮肉なことに、私たち人間が引き起こした温暖化によって資源開発がしやすくなっているという現実も。

永久凍土に眠る資源が私たちの未来を救う可能性もある一方で、長期的な視点で見れば地球温暖化を加速させ、自分たちの首を絞める結果になりかねないのです。

そういった意味で、永久凍土は「諸刃の剣」と言えるかもしれません。

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