極地で見られる「幻日」とは?そのメカニズムについて

COLUMN | 2019.12.10

突然ですが、皆さんは「幻日(げんじつ)」と呼ばれる大気光学現象をご存知でしょうか?

学問的な分類では、雨上がりの直後に見られる「虹」などと同じです。

しかしながら、虹とは違って日本国内で観測されることは滅多にありません。どちらかというと、南極をはじめとした極寒地で観測されることの多い現象です。

本記事では、非常に珍しい現象の1つである「幻日」について、そのメカニズムや幻日の仲間として知られる「120度幻日」や「幻日環」に至るまで詳しく解説いたします。

1 極地で起こる「幻日」とは?

parhelion01

幻日(げんじつ)とは、大気中に含まれる結晶が光を屈折させることによって生じる大気光学現象の1つ。

本物の太陽と同じ高さに、うっすらと浮かび上がる太陽にも似た小さな光が幻のように浮かび上がることから、「幻日」という名前が付けられたました。

南極をはじめとした極地で観測されることが多い現象として知られています。

とは言ってもまるでもう1つ太陽があるかのように、幻の太陽が鮮明に浮かることはほとんどありません。しっかりと注視しないと、その存在に気づかないこともあります。

発生する確率は低く、たとえ極地であってもお目にかかる機会は非常に稀です。

2 幻日を引き起こすメカニズム

幻日の発生には、大気中に含まれる「氷晶」の形状が深く関わっています。

ちなみに氷晶とは、その名の通り氷の結晶のこと。目に見えないほど微細な氷晶は常に大気中を漂っています。実は、この氷晶は「六角形」の柱状になっているのが特徴。

この六角柱によって太陽の光が屈折することで、幻日を浮かび上がらせているのです。

ちょうど「プリズム」のような役割を果たしていると考えると、わかりやすいかもしれません。

ただし、太陽の高度が高すぎても低すぎてもと幻日は発生しません。

絶妙な太陽高度、そして大気中に含まれる氷晶量など複数の条件がぴったりと重ならない限り、幻日を見ることはできないのです。

3 幻日の中でも特に珍しい現象

幻日の他に、幻日環、120度幻日、環頂天アークといった現象も存在します。ここまでご紹介してきた幻日同様、発生することは非常に稀です。

3-1 幻日環

parhelion02

幻日環(げんじつかん)とは、天頂を中心に太陽を通るような巨大な円を描く現象のこと。

外暈と間違えられやすいですが、外暈が太陽を囲っているのに対して幻日環は、太陽の中心部分を通る円を描くのが特徴です。

ちなみにこの幻日環は巨大地震の前触れと囁かれることもありますが因果関係は全くありません。それだけ珍しく神秘的な現象だという意味なのでしょう。

3-2 120度幻日

parhelion04

120度幻日とは、太陽と同じ高度で、尚且つ太陽からの方位角で120度離れた箇所に見える小さな発光のこと。

前述した幻日環とは違って、少しわかりづらいですが非常に珍しい現象の1つです。通常の幻日よりも発生する確率は遥かに低くなります。

1~2年に一度発生すれば良い方で、たとえ発生したとしても見つけられないことの方がほとんどです。

3-3 環頂天アークと環水平アーク

parhelion05

環頂天アークとは、太陽の真上に現れる逆さまの虹のこと。

別名「逆さ虹」と呼ばれることもあります。反対に環水平アークとは、太陽の真下に現れる虹のことです。

一般的な虹が大気中の水滴によって引き起こされるのに対して、環頂天アークと環水平アークは幻日と同じく「氷晶」によって引き起こされます。

条件さえ揃えば幻日は日本でも観測可能

極地で見られる世にも珍しい光学現象、「幻日」。

実は、太陽高度や大気中の氷など条件さえ揃えば、日本国内でも幻日は観測可能です。過去には、2015年の10月頃にも東京都内で幻日が観測されたこともありました。

ただし、観測時間はごくわずか。発生頻度としては年に1回起こるか、起こらないかと言ったレベルでしょうか。やはり珍しい現象であることには間違いありません。

たとえ発生していたとしても、気づかれないこともあるでしょう。

ふと空を見上げた瞬間、運よく幻日を見かけた際には、本記事でご紹介したメカニズムと一緒にお友達やご家族にそっと教えてあげてください。

LINEで送る

一覧へ戻る