北極圏に位置するスヴァーバル諸島とは?気候、自然、島の暮らしについて

COLUMN | 2019.12.27

みなさんは、「スヴァーバル諸島(スバーバル諸島)」と呼ばれる島の存在をご存知でしょうか?

スヴァーバル諸島は、北極圏に位置する小さな島の集まりです。

法的にはノルウェー領とされていますが、1920年に締結されたスヴァーバル条約により、加盟国であれば自由に経済活動を行うことができるという少し不思議な制度が敷かれています。

この制度のおかげで、加盟国はビザ・入国審査不要で入国できてしまうのです。

今回は、そんなスヴァーバル諸島について、ちょっと不思議なスヴァーバル条約との関係や、諸島の気候、自然、人々の暮らし至るまで詳しくご紹介します。

1 スヴァールバル諸島とは?

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スヴァーバル諸島とは、北極圏に位置するノルウェー領の群島のこと。

スピッツベルゲン島、バレンツ島、エッジ島、ウィルヘルム島、コング島を始めとした大小異なる9つの島を総称してスヴァーバル諸島と呼んでいます。

公用語は主にノルウェー語、そしてロシア語の2つ。

そのほとんどが一年を通して分厚い雪と氷に覆われているため、有人島はスピッツベルゲン島のみ。人々は、主に島の中心部に位置するロングイェールビーンで生活しています。

ちなみに国際法上はノルウェー領ということになっているものの、法制度や行政システムはノルウェー本土とは異なるものです。

この点については、スヴァールバル条約の内容と併せて後述します。

2 島の扱いについて定めた「スヴァールバル条約」

スヴァールバル諸島において特筆すべき点は「スヴァーバル条約」の存在です。

スヴァールバル条約とは、1920年に「パリ講和会議」で締結された多国間条約で、スヴァールバル諸島の国際法的な扱いについて定めています。

オーストラリア、カナダ、フランス、インド、デンマーク、そして日本を含む40カ国以上が条約の加盟国です。

諸島は前述した通りノルウェーの領土であることは間違いありません。その一方で、条約の加盟国に対して以下のような自由が認められています。

2-1 加盟国の渡航者は入国審査は不要

出張や旅行で海外へ渡航する際、パスポート(ビザ)持参し更に入国審査を受けるのが一般的です。

一方でスヴァールバル諸島の場合は、原則としてビザも入国審査も不要。唯一の条件は、スヴァーバル条約の加盟国であるということのみ。

前述した通り日本も条約加盟国なので、日本人はビザも入国審査も無しで諸島へ入国できてしまいます。

他国(ノルウェー)の領土でありながら、法的な手続きをほとんど経ずに入国可能な国はとても珍しいと言えるでしょう。

2-2 加盟国全てが島での経済活動を行うことができる

スヴァールバル諸島では、条約の加盟国全てに対して経済活動を行う自由が認められています。

通常は就労ビザのようなものが必要になりますが、スヴァールバル諸島の場合は例外。

かなり極端な話ではありますが、日本に在住の人が突然スヴァールバル諸島へと訪れ、現地で物件を探して契約しレストランを営むことも可能です。

このような自由を認めたらあらゆる加盟国の人々がスヴァーバル諸島で商売を行うのでは?と考えてしまいますが、現地は寒さの厳しいツンドラ気候。

相当な覚悟がなければ、島で商売をして生計を立てるのはかなり困難と言えるでしょう。

3 スヴァールバル諸島の気候と自然

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3-1 寒さ極まるツンドラ気候

スヴァーヴァル諸島は、典型的な「ツンドラ気候」。ちなみにツンドラ気候とは年間通して平均気温が、10~0度の気候のこと。気候区分では「寒帯気候」に分類されます。

簡単に言ってしまうと極めて寒い気候ということです。

その寒さゆえに樹木なども生えず、自生するのは厳しい気候に適応したごく一部の小さな草花程度。しかも芽吹くのは、後ほどご紹介する「白夜」の期間のみ。

人間だけでなく生態系にとっても非常に厳しい気候です。

3-2 4ヶ月以上続く白夜と極夜

一日中太陽が沈まない現象を白夜、反対に一日中太陽が昇らない現象を極夜と呼びます。これは地軸の傾きによって引き起こされる極地特有の現象です。

スヴァーバル諸島は極点にもかなり近いため、白夜と極夜がそれぞれ4ヶ月以上続くことも。

特に陽の当たらない極夜の時期は、前述したツンドラ気候と相まって-30度を下回るような非常に厳しい寒さに襲われこともあります。

ちなみに白夜と極夜のメカニズムなどついては以下の記事でも詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

南極や北極で起こる「白夜」と「極夜」とはどんな現象なのか?

4 スヴァールバル諸島に住まう人々の暮らし

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スヴァールバル諸島では現在、約2,600名の人々が暮らしています。

ただし、全人口の約25%が1年で入れ替わってしまうほど人の出入りが激しいという側面も。

スヴァールバル条約による独特の政治体制と厳しいツンドラ気候により、移住した後になって「定住には適さない」と判断する人も多いだそう。

人々の暮らしを支える産業は、主に炭鉱業と漁業の2つ。中でも古くから続く炭鉱業は、一般的な職業と比べて収入も良いと言われています。

また最近は極地研究に関連して、そして観光・研究系の職につく人も多いようです。

今後は、極地科学研究拠点としてのスヴァールバル諸島にも注目

スヴァールバル諸島は、世界的な極地科学研究の拠点としても知られています。

一見すると荒涼とした小さな島ですが、意外とアカデミックな側面もあるのです。

北極の研究は以前より行われてきましたが、生態系、磁場、氷床とその下に眠る資源など未だ完全には解明されていない点が多いのも事実。

スヴァーバル諸島の4ヶ月以上続く白夜と極夜、そして-30度にも達するツンドラ気候。これら諸条件は、極地という場所について研究する上でメリットになり得ます。

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