北極と南極の違いとは?極地と呼ばれる地域の特徴
COLUMN | 2019.10.15
北極と南極に対してどのようなイメージを持っていますか?
“地球上で最も寒い地域”や“氷で覆われた大地”など、漠然としたイメージを持っている方がほとんどではないでしょうか。
私たちが普段の生活の中でまず立ち入る機会すらない「極地」と呼ばれる北極と南極。
メディアなどで目にすることがあっても実際に足を踏み入れたこと経験がある人はほとんどいないため、とても遠い存在に感じてしまいますよね。
今回はそんな北極と南極について、2つの間にどのような違いがあるのかという点を中心にそれぞれの特徴について詳しくご紹介していきます。
1 そもそも”極地”とは?
北極や南極のことを総称して「極地」と呼ぶことがありますが、そもそもこの”極地”という言葉には定義があることをご存知でしたか?
極地とは、北緯・南緯ともに66度33分以上の高緯度に位置する地域のことを言います。
“極圏”や極域”と言い換えられることもありますが、私たちには「北極圏・南極圏」という言い方の方が馴染みがあるかもしれませんね。
この緯度66度33分の境界線は”極線”と呼ばれ、それぞれの極点(北極点・南極点)からは約2,606kmの距離があると言われています。
地球の自転と公転を中心に考えると、太陽に面する公転面に対して傾いている地球の自転軸(地軸)の傾斜角である”23.4°”がまさに極線の位置となるそうです。
極地の範囲は北極圏と南極圏を合わせると約4,000万k㎡で、これは地球の面積約8%に及ぶ広大な範囲なんだとか。
極地とは特別な場所と勘違いされやすいですが、あくまで”極点からの距離”や地球の地軸の傾斜角である”赤道傾斜角の余角”で区切られた地域。
気候や生態の生息域、白夜や極夜、オーロラといった現象が起りやすい場所と言った意味合いもなく、非極地である周辺地域との差異はほぼ無いと言えます。
2 北極と南極の違いとは?
地球上で対極に位置する北極と南極。
緯度で言えば全く同じ位置となる2つですが、比較した時にはもちろんそれぞれの特徴や違いがあることがわかります。
2-1 南極とは?
南極は地球上にある6大大陸の1つ。南極点を中心に広がる陸地はおおよそ日本の36倍(約1,400万k㎡)の面積があると言われています。
大陸とは言ったものの、そのほとんどは“氷床”という氷に覆われておりその厚さは最大で4kmに達し、富士山がすっぽり入ってしまうほどの高さ。
地球上で最も寒い地域と言われ、人類史上まだ人間が定着して住み着いたことのないのが南極大陸。
その最大の理由は寒さではなく“降水量の少なさ”と言われており、実はほぼ”降水量が0″の地球上で最も乾燥した地域なんです。
また、南極大陸は地球上で唯一、どこの国にも属していない大陸。1959年に締結された南極条約により南極を自国の領土と主張することが禁止されているんだとか。
ただし各国の観測基地は南極大陸には多数点在しており、日本の昭和基地など名前だけご存知の方も多いのではないでしょうか。
現在では研究・観測以外にも一般向けのツアーやクルーズなども提供されており、南極は以前より身近な場所となっているのかもしれませね。
2-2 北極とは?
北極と南極の最大の違いは“北極は大陸を指す言葉ではない”という点ではないでしょうか。
中心である北極点周辺の海は2〜3m程度の厚さの氷で覆われており一見陸地のように錯覚してしまいますが、夏になると溶けてなくなってしまうなんてこともしばしば。
つまり、「北極」とはある1つの大陸ではなく、北極点を中心とした北極圏の範囲や北極海など全てを含む言葉。もちろんその中には北極圏内に点在している各国の島国も入ります。
北極圏の内側にはカナダ、アメリカ、ロシア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、デンマークの8つの国が含まれており、デンマーク領の”グリーンランド”などは有名ではないでしょうか。
北極点を目指すのは南極点より遥かに難しいと言われているそうですが、それは海の状況や気候などで北極点周辺を覆う”氷”がどんどん変化してしまうため、同じルートを辿ることができないためと言われています。
3 どっちが寒い?気温から見る違い
極地は1年を通じて最も寒いと言われている地域ですが、南極と北極ではどちらの方が寒いかご存知ですか?
結論から言うと最も寒いのは”南極”。
北極・南極と言っても範囲が広大なため一概にはいえませんが、例えば北極点の年間平均気温は”-6.2℃”。南極点の平均気温は-49.5℃、南極で過去観測された中でも最も低い気温が”-89.2℃”と同じ緯度でもかなりの差があります。
理由として同じ氷でも南極は大陸に上に氷が覆っている氷床がとても厚く、かなりの標高差があるためと言われています。
北極にもグリーンランドなどに高さ3kmを超える氷河などがありますが、基本的には海面と変わらない高さの氷に覆われているため、どうしても南極の方が気温が低くなってしまうんだとか。
また北極の平均気温を見て思ったよりずっと暖かいなと感じませんか?
これは北極海を通る”北大西洋海流”と呼ばれる暖流が流れ込んできて、気温を高くしているのが理由の1つとされています。
4 極地で暮らす生物の生態系
陸地ではアザラシやペンギンやホッキョクグマ、海にはクジラやシャチなど、極地では気候に順応した動物たちが生態系を作り暮らしています。
ただ極地にいる生物にとっても冬の寒さは厳しいらしく、夏になるとその活動が活発になってくる傾向に。
意外なことですが極地でも夏の間は地面から植物が顔を出します。そしてその植物を求めてたくさんの動物たちが集まりとても賑やかな生態系を見ることができると言われています。
例えば夏の時期の北極。暖かくなると永久凍土であるツンドラからたくさんの花が咲き誇り、それを求めてトナカイやケワタガモと言った鳥類が集まってくるそうです。
また、植物は食べないですがは普段はツンドラの中で暮らしているホッキョクギツネやキョクアザラシなどが顔を出すこともあるんだとか。
南極は北極に比べずっと気温が低いため、順応できる生物がそもそも少ないと言われています。
例えばペンギンも夏の時期は露岩域と呼ばれる氷床に覆われていない地域に子育てにやってきて、夏が終わると暖かい北へ移動していくそうです。
実は北極にいるクマも南極では寒すぎて順応できなかった生物とうことをご存知でしたか?
このように、極地では生物が生きていく場所が限られ生態系を構成する種類も少ないため、ひとまとまりとして捉えやすいと言われているそうです。
北極・南極、極地が抱える様々な問題
今回は地球の果てとも言われる北極・南極についてご紹介してきました。
違いについてよく分からないと言われがちですが、そもそも大陸である”南極”とその周辺域全てを指す”北極”、気候や生態系などに様々な違いがあることがわかっていただけたかと思います。
今、極地の抱える問題として必ず上がってくるのが”地球温暖化”。
平均気温が上がることで極地の氷が溶けてしまい、結果として海面が上昇し島国が海に沈んでしまうという話を聞いたことはありませんか?
確かに平均気温は過去に比べてると上昇しているし、氷床が溶け出してたり海面が上昇している事実もあるようです。
ただし氷床は溶けた分新らしい氷が生成されていたり、海面の上昇より早いスピードで陸地自体が沈降している地域があるなど、はっきりとした因果関係については不明な点が多いようです。
ただ遠い先には全ての氷がなくなってしまう可能性が高いとも言われているため、今後のためにも環境への配慮を忘れないようにしていくことが大切ではないでしょうか。