日本でも見れる「低緯度オーロラ」とは?そのメカニズムを解説

COLUMN | 2020.03.03

 

夜空に輝く幻想的な光のカーテン、オーロラ。

オーロラといえば、南極や北極、北米や北欧といった一部の国と地域でしか観測できない非常に貴重な大気発光現象の1つです。

その絶景を一目見ようと、遠く離れた国からわざわざ観測可能な地域へと訪れる観光客も多くいます。

そんな神秘的なオーロラ、実は過去に日本国内でも観測された記録があることをご存知でしょうか?

今回は、意外と知られていない日本国内から観測できる特別なオーロラの存在にスポットを当て、メカニズムや観測地域を中心に詳しくご紹介します。

1 そもそもオーロラの発生するメカニズムって?

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そもそもオーロラとは、どのようなメカニズムで発生しているのでしょうか?実はオーロラの発生と深く関わっていると言われているのが、太陽活動。

太陽の表面で起こる爆発によって「太陽風」と呼ばれる高温のプラズマが地球に向かって流れてくることがあります。

地球の周囲に存在する磁気圏と呼ばれるバリアが太陽風を防いでくれていますが、100%防御できるわけではありません。太陽風が磁気圏にぶつかった後、時に地球の裏側まで侵入してしまうことも。

そして高温のプラズマ(太陽風)が、地球の大気圏に漂うイオンと衝突。その衝突時のエネルギーによって発光したものが「オーロラ」と呼ばれるものなのです。

ちなみにオーロラのメカニズムについてもっと知りたい方は、以下の記事でより詳細に解説しています。併せてご覧になってくださいね。

オーロラとは?そのメカニズムやおすすめスポットについて徹底解説!

2 日本国内で観測可能なのは「低緯度オーロラ」

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前述したオーロラは、極点に近い高緯度地域で観測されるものです。一方で、日本国内で観測可能なオーロラは「低緯度オーロラ」と呼ばれています。

低緯度オーロラとは、その名の通り低緯度地域からでも観測可能なオーロラのこと。

基本的なメカニズムは、高緯度地域で発生するオーロラと同様のもの。太陽の表面で大規模な爆発現象(太陽フレア)が起こると強力な太陽風が地球にやってきます。

この太陽風によって「磁気嵐」と呼ばれる大きな磁場の乱れが起こると、通常のオーロラよりも一層大規模なオーロラが発生。結果として高緯度地域のオーロラが日本のような低緯度地域からも観測できるようになると考えられているわけです。

そして一般的なオーロラとの大きな違いは、その色が赤いという点。

オーロラは高度に応じて色が変わると言われています。高度が80kmは紫やピンク、高度100kmは緑、高度200kmは赤く発色するのだそう。低緯度地域から観測可能なのは、オーロラの中でも高度200km以上の赤色の部分だけというわけですね。

とは言っても観測回数が多くないことから、そのハッキリとしたメカニズムに関しては未だ分かっていないことも多いようです。

3 かつて日本で低緯度オーロラが観測された地域は?

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低緯度オーロラは、高緯度地域に比べると発生頻度はかなり低いものの、古くから日本国内においてなんども観測されてきました。

古くは「赤気」と呼ばれ、赤く光る空から大火事が起きたと勘違いする人も多かったのだとか。

そんな低緯度オーロラを観測してきたのは、比較的近年であれば北海道の名寄町、上士幌町、陸別町などが中心。

さらに古文書によると、かつては新潟、長崎、富山などで低緯度オーロラ(赤気)を観測したという記述も残っているのだそう。

もちろん高緯度地域のオーロラとは違い頻繁に発生するわけではないので、出張や観光のついでに低緯度オーロラの観測することはちょっと難しいかもしれません。

4 低緯度オーロラは11年周期で観測可能?

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低緯度オーロラは、およそ11年周期で観測可能だと言われています。

そもそも低緯度オーロラは、大規模な太陽フレアが強力な太陽風を発生させることによって起こるもの。

そして太陽風の元になる太陽本体の活動は、11年周期で変動するものと考えられています。なぜ11年という周期なのか、その理由はいまだ明らかにされていません。

1つわかっているのは、太陽活動が最も活発になる時期の前後に低緯度オーロラが発生しやすいということ。

もちろん11年という数字はあくまで目安にはなりますが、低緯度オーロラを観測する際の手がかりになることは間違いないと言えるでしょう。

低緯度オーロラの及ぼす地球への影響も計り知れない

低緯度オーロラは、本来であれば観測できない日本国内からもオーロラを眺めることができるという非常に珍しい現象です。しかしながら、手放しで喜ぶことはできません。

低緯度オーロラはその美しさの反面、地球に与える影響も計り知れないからです。

もし低緯度オーロラを発生させるレベルの大規模な太陽風が地球に流れてくれば、通信システムの故障など経済的損失を与える可能性も考えられます。

しかしそうであっても、生きているうちに一度はこの目で眺めてみたいオーロラ。

ちなみに、次に低緯度オーロラが観測されるのは2026年前後というデータもあるのだそう。もし機会があれば、時期をしっかりと見定めた上で、北海道をはじめ、低緯度オーロラを観測可能な地域に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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