南極でも行われる実験「オーロラロケット」について知る

COLUMN | 2020.04.24

遠く宇宙空間からの天体観測や実験を行うため、人工衛星や有人・無人の探査機を打ち上げに使用されるロケット。そんな中、「オーロラロケット」という種類のロケットをご存知でしょうか?

オーロラロケットとは文字通り、オーロラ観測のために使用されるロケット

そのロケットの光跡はまるで”青く光った巨大クラゲ”のような見た目と言われ、何も事情の知らないし人が見ると”宇宙人が攻めてきた”と驚いてしまうんだとか。

今回はそんなオーロラロケットについて、どのような観測を行っているのかを詳しく解説していきます。

1 オーロラのメカニズムとは

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そもそもオーロラのメカニズムについてご存知でしょうか?

オーロラとは、地上からおよそ100kmから500km上空に発生する発光現象のこと。特に北半球の北半球の60度から70度の範囲である「オーロラベルト」と呼ばれる地域で発生率が高いと言われています。

オーロラができるメカニズムには、太陽活動で生じる“太陽風”が大きく関係しているんだとか。

地球に向かって吹いている太陽風。地球は太陽風から悪影響を受けないよう磁気圏”というバリアによって守られていると言われています。

ただ磁気圏が全ての太陽風を防いでくれる訳ではなく、一部は地球の裏側から侵入してしまうんです。

そして大気圏に到達した太陽風が様々な原子とぶつかり合い、その時発生するエネルギーの正体がオーロラなんです。

ちなみにオーロラのメカニズムについてもっと知りたい方は、以下の記事でより詳細に解説しています。併せてご覧になってくださいね。

オーロラとは?そのメカニズムやおすすめスポットについて徹底解説!

2 オーロラロケットを使用した観測

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オーロラロケットとは、まさにオーロラめがけて打ち込む観測ロケットのこと。

通常オーロラは、地上からの”オーロラ全天カメラ”という巨大な装置を用いて観測されることが多いと言われています。

オーロラが発生するのは極地の百メートル上空。オーロラロケットはおおよそ100〜500km付近にある”電離層”に向け発射されるんです。

直接オーロラめがけてロケットを打ち込む分、大気中の密度や温度、原子や分子の動き、オーロラ粒子の分布についてより詳細に把握することができると言われています。

オーロの発生に大きく関係している電離層は、まだまだ謎が多いと言われている領域。地上より詳しくオーロラを観測するためには、オーロラロケットが不可欠なんですね。

3 南極で行われたオーロラ観測

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今から50年も前の1970年。南極で日本人の手によってオーロラ観測ロケットが打ち上げられたことをご存知でしょうか。

このロケット観測を計画したのが、第一次南極観測隊の隊長を勤めた永田武氏。国立極地観測所主導のもと、1970年2月に「S-160JA型1号機」というオーロラ観測ロケットが打ち上げられたんだとか。

その後も1985年までの間に複数回撃ち込まれたオーロラロケット。あまりイメージがないかもしれませんが、南極大陸は「宇宙の窓」と呼ばれるほど宇宙や天体の研究と密接に関係した地域なんです。

2020年はアラスカでオーロラロケット実施予定

今回はオーロラ観測を行うために用いられる「オーロラロケット」についてご紹介しました。

直接オーロラにロケットを打ち込むことで観測を行うオーロラロケット。地上からでは分かりにくい原子や分子の動きから大気中の密度や温度について、より詳細に調査することができるんです。

現在でもオーロラロケットは活用されており、2019年にはノルウェー・アンドーヤ、2020年にはアラスカで実験が行われる予定なんだとか。

まだまだ謎が多いとされるオーロラのメカニズム。今後、オーロラロケットにより新たな事実が発見されるかもしれませんね。

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