ビバークとは?緊急事態発生時における対策について
COLUMN | 2023.01.05
登山時は予期せぬトラブルにより、その場に留まり続けなければならないという緊急事態発生の可能性があります。
やむを得ず登山を一時中断してその場で待機する方法に「ビバーク」が挙げられますが、詳細まで把握しきれていない方も多いでしょう。
今回は、登山時の緊急事態発生時に備えて覚えておきたい、ビバークについて紹介します。
1 緊急事態発生時に実施する「ビバーク」とは?
ビバークとは、登山(下山)が予定通りに進まず、山中で一夜を明かす緊急手段のことです。
「悪天候で思うように進めない」「怪我をした」「登山コースから外れてしまった」など、緊急事態発生時に取る手段を指します。
1-1 ビバークに必要な準備
ビバークすることを想定し、特に初心者の方は以下の準備をしておくと良いでしょう。
- 水
- 非常食
- ストーブ
- バーナー
- 燃料
- クッカー(コッヘル)
- ロープ
- ランプ
- ナイフ
- 防寒着
- 雨具
- 着替え
- 簡易テント(ツェルト)
- ザック
- エマージェンシーシート
- ヘッドライト
- 懐中電灯
上記のアイテムは結果的にビバークすることなく登山を終えられたとしても、安全に山を登るための備えとして用意しておくべきものでもあります。
1-2 ビバークする場所の選び方
ビバークに適した場所は、以下の基準で決めましょう。
- 雨風を避けられる
- 落石・倒木・雪崩などの不安がない
- 斜面ではなく平坦な場所
- 湧水・沢が近くにある(飲み水確保のため)
- ロープやペグを設置しやすい場所(簡易テント設営のため)
もし近辺に山小屋や洞窟があれば、安全性や快適性を確保する意味で最適な場所といえるでしょう。
緊急事態発生時はただでさえ慌てているので、ビバークする場所の判断を誤らないようどのような場所が適しているのか事前に把握しておくべきです。
2 ビバークするかしないかの判断
目的地に到着するのが夜間で「危険かもしれない」と考えた場合を想定してみましょう。夜間の登山は危険が多いため、初心者の場合はビバークを選択すべきかもしれません。
もし登山メンバーに熟練者がいたり、何度も登ったことのある山であったりという条件が揃っていれば、細心の注意を払いながらビバークせず登り続けても良いでしょう。ただし、前が見えないほどの悪天候や、怪我などの緊急事態が発生した際は、安全を最優先にしてビバークを選択してください。
チームで登山する場合は、メンバーの体調にも配慮しながらビバークすべきか否かを判断しましょう。
3 ビバークを回避するためには
登山計画に余裕を持たせることで、緊急事態発生のリスクを抑制できます。
無理なスケジュールで登っていると、事故や怪我の危険性も増してしまうでしょう。また、事故や怪我のリスクを回避するために、安全な道を事前に調査しておくのもおすすめです。
崖や斜面が多い場所や、日の差しにくい場所をできるだけ避けることで、ビバークせざるを得ないような緊急事態発生を抑止できるでしょう。
時間管理や現在地の確認などもこまめに実施しつつ、丁寧に歩くことを意識すれば緊急事態の発生リスクは軽減します。
ビバークはあくまで緊急事態発生時の対策であるため、できれば避けたいところ。回避するための心構えをしっかり身につけ、安全な登山を実現しましょう。
4 登山時に緊急事態が発生した場合の予備知識
万が一登山時に緊急事態が発生した際は、ビバークの知識以外に覚えておくべきことがあります。
それは、緊急連絡先の把握です。どうしても自力で登山(下山)できない場合は、110番・119番に救助を依頼しましょう。
救助について連絡する際は、以下を伝えてください。
- 現在地の目安
- 事故の発生日時
- 怪我・病気の状態
- 緊急事態発生の原因
- 救助が必要な人数・氏名
- 電話をかけている人の氏名・住所
- 連絡手段について(電話番号・バッテリー残量)
- 天候
- 登山計画書の提出有無について
また、単独登山だったり連絡手段がなかったりした場合は、近辺のビジターセンターや登山客に助けを求めましょう。
登山に参加していない家族や友人に「登山の途中経過に関する連絡がなくなったら救助を呼んでほしい」と、事前に備えておくことも大切です。
ビバークについて知ることで登山時の緊急事態発生リスクを軽減
登山時に緊急事態が発生した際に、その場で一夜を明かすためにビバークが必要になることもあるでしょう。
ビバークに必要な装備や適した場所、歩き続けるかどうかの判断基準について事前に把握することで、緊急事態発生時のリスクを軽減できます。また、ビバークを回避するための方法や緊急連絡先に関して事前に備えておくことも大切です。
登山時に緊急事態が発生しないよう、今回紹介した内容をぜひ参考にしてください。