フリース素材の特徴やお手入れ方法

COLUMN | 2022.09.05

肌寒くなる秋冬にピッタリなフリースアイテム。

モコモコとした手触りで、見た目もなんだか暖かそう。アウトドア用品の印象が強いですが、現在は多くのファッションブランドが提供しており市民権を得ています。

フリースは暖かい点が印象的ですが、そもそもどのような素材なのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。

当記事ではフリースの概要から魅力、取り扱い上の注意点について説明していきます。

1 フリースとは

フリースはポリエステル素材の起毛生地のこと。合繊が使われているため、様々な加工をして機能性を持たせることもできる魅力的な素材です。

本来であれば「羊一頭から刈り取られた、ひとつながりの羊毛」をフリースと定義していましたが、現在は石油を原料とする「ポリエチレンテレフタラート(PET)」と呼ばれる、ポリエステルの一種から作られる化学繊維を指します。

ペットボトルをリサイクルした素材も流通していますが、コストが掛かるため、ほとんどのフリースは石油から作られたものです。

またポリエステルのほかに、アクリルを使用して作られるものもあります。アクリルは安価ではあるものの、繊維に機能性を後付けする加工ができないことがネック。

耐久性や保温性などの機能面を重視する場合は、ポリエステルを使用したものの方が優れた素材と言えるでしょう。

機能性に優れたフリースはアウトドア用品として普及しました。現在では下着などの日用品としても使用されているポピュラーな素材です。

2 フリースの魅力

ポリステルを使用した作られたフリースは多くの特徴をもっていることが魅力。

ここではそれぞれのメリットを説明していきます。

2-1 優れた保温性

フリースの一番の魅力は、保温性の高さです。

ポリエステルの繊維を軽い布地に織り込ませる形で起毛処理されたフリースは、繊維と繊維の間に空気の層を保つことができます。その空気の層が体から発せられる熱を逃さず、外からの冷気を遮断するので暖かさが維持できる訳です。

2-2 優れた通気性と高い速乾性

フリースは保温性に優れている一方で、高い通気性を持つ素材でもあります。そのため水分を吸収してもすぐに乾いてくれることが魅力。

雨や雪で濡れた場合や、洗濯した後の乾燥も早く済みます。また汗の発散も早いため、汗をかいた後のムレやべたつきによる不快感を軽減してくれます。

その機能性の高さから登山などのアウトドア用品に使用され、春秋はアウター、冬はインナーとして重宝する素材です。

2-3 肌触りの良さと軽量で丈夫

フリースは、滑らかで柔らかな肌触りの良さも魅力の一つ。

天然繊維のような刺激が少ないため、肌が弱い方も安心して使用できるでしょう。またフリースに使われるポリエステルは、軽くて丈夫なことも特徴です。

着用時にストレスが少なく、持ち運びにも便利なこともメリット。丈夫な素材ですので、長持ちしてくれる素材でもあります。

2-4 手軽なお手入れ

フリースは前述した通り、速乾性に優れているため、自宅の洗濯機で洗うことができます。

また丈夫な素材なのでシワになりにくく、基本的にアイロンがけが不要なのも嬉しいポイントです。

自宅で洗濯する際のポイントについては後ほど説明します。

3 フリースの取り扱い上の注意点

多くの魅力を持つフリースですが、メリットばかりではありません。

フリースは“火気”と“摩擦”に弱いことを覚えておきましょう。

前述したようにフリースはポリエステルが原料の合成繊維なので、火花などの小さな火でもすぐに燃えて穴が開いてしまうことも。料理中のコンロや、ストーブなどの火気に近づけないよう注意しましょう。

次にフリースは摩擦にも弱い素材なので、使用頻度が増えれば毛玉が発生しやすくなります。

毛玉が気になる方は、ブラシや毛玉取り機などの日頃のケアが必要です。しかしながら、ものによっては生地にダメージを与えてしまう可能性があるので注意しましょう。

現在、流通しているフリースアイテムには摩擦に強いフリース生地を使用したものや、裏地にナイロン生地などで補強されたものなどがあります。長く愛用したいのであれば、毛玉ができにくい加工が施されているアイテムを選ぶといいでしょう。

また“静電気”が発生しやすいこともデメリットの一つ。フリースは冬場に使用する機会が多いため、注意しなければなりません。

4 ウールとの違い

フリースとよく比較されるウール。

ここでは2つの素材の違いについて説明していきます。

4-1 繊維の違い

フリースとウールの決定的な違いは、化学繊維と天然繊維という点です。

前述したように、フリースは元々「羊一頭から刈り取られた、ひとつながりの羊毛」でしたが、現在は石油を原料とする「ポリエチレンテレフタラート(PET)」と呼ばれる、ポリエステルの一種から作られる化学繊維です。

一方、ウールはカシミヤやキャメルを含む羊毛・獣毛に分類される天然繊維。人気が高い素材の一つで、フリースと同じ様に様々なシーンで活用されています。

4-2 提供される価格の違い

天然繊維であるウールは高級品のイメージが強いかもしれません。

化学繊維のフリースの提供価格は数千円〜3万円程度。一方、ウールの提供価格は種類によって異なりますが、カシミヤやアルパカなどの高級品なら3〜5万円程度です。

ものによっては一着10万円するものもあり、フリースとの販売価格の違いが挙げられます。

4-3 着用シーズン

フリースとウールの違いは着用できる期間も違いの一つ。

フリースは夏以外の季節に使用されることが多いですが、ウールは熱伝導が低く、吸湿性にも優れているので夏でも涼しく着用することができます。

4-4 日頃のケア

フリースとウールの違いに型崩れのしやすさも違いの一つとして挙げられます。

フリースは前述したように、軽量で丈夫なため洗濯を繰り返しても型崩れがしにくく日頃のケアがしやすいことがポイント。

逆にウールは洗濯をするとフェルト化しやすく、型崩れの原因に。ブラッシングやこまめな毛玉取りなど日頃のお手入れが欠かせません。

5 自宅でのお手入れ方法

前述した通りポリエステルフリースは、基本的に自宅で洗濯することができることがメリットの一つ。その際に長持ちさせるためのポイントを押さえておきましょう。

まず、使用する洗剤ですが中性洗剤がおすすめ。これによりフリース特有のふんわりとした質感を保つことができます。

その際に柔軟剤を入れると静電気の発生を軽減してくれます。柔軟剤を入れすぎてしまうと、生地がゴワゴワしてしまうので入れる量に注意しましょう。

フリースは前述した通り、摩擦に弱く毛玉になりやすい素材です。洗濯機に投入する際は、必ず洗濯ネットを使用することがポイント。また洗濯ネットに入れる時は、そのままの状態ではなく畳んでからネットに入れると、より摩擦を軽減することができます。

洗濯コースは摩擦を少なくするために、ドライコースを選びましょう。

洗濯後は乾燥させる必要があるので、風通しの良い場所で陰干しが最適です。フリースの縮みや変形の原因になるので、乾燥機の使用は控えましょう。

丈夫な素材なのでシワにはなりにくいですが、気になる場合はアイロンを使用します。しかし熱に弱い一面を持っているので、必ず霧吹きをして湿らした後に当て布をし、低温であてることがポイントです。

フリースの魅力を感じて、快適な毎日を

フリースは機能性に優れている化学繊維で、ウールのような天然繊維と比較すると手軽に購入することができます。

その他にも、フリースは保温性や肌触りのよさなど魅力が詰まった素材です。お手入れ次第では長く愛用できることも嬉しいポイント。

当記事を通してフリースの魅力を改めて感じていただけると幸いです。

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