北信越の有名登山スポット
COLUMN | 2023.05.03
日本には多くの山が存在し、登山初心者から上級者まで多くの方が登山を楽しんでいます。
それぞれの地域によって、その魅力は異なり季節や天候などによっても変化するもの。
今回は北信越(長野、新潟、富山、石川、福井)にスポットをあて、地域ごとの登山スポットを紹介します。
1 長野県のスポット
1-1 槍ヶ岳(やりがだけ)
槍ヶ岳は長野県と岐阜県の境にそびえる山。標高は3,180mで、日本百名山の一つでもあります。
鋭鋒のシルエットが特徴的で、どの方向から見ても尖って見えるシンボル的な山です。
登山コースは以下の5つ。
- 上高地から槍沢コース(9時間30分)
- 新穂高温泉から飛騨沢コース(8時間40分)
- 穂高連峰からの縦走コース(7時間30分)
- 燕岳からの表銀座コース(8時間40分)
- 双六小屋から西鎌尾根コース(6時間)
山頂からは飛騨山脈や八ヶ岳、中央アルプスや南アルプスなどなど、多くの名峰を見渡すことができます。
1-2 苗場山(なえばさん)
苗場山は長野県と新潟県を跨ぐ名峰で、標高は2,154m。
越後の名山としても知られており、全国各地からの登山者に親しまれています。
さまざまな登山コースが用意されていますが、コースによって苗場山の違った景色を堪能できるため、初心者から上級者まで多くの登山者に人気です。
登山はもちろんですが、スキー場も人気スポット。冬のシーズンになると多くの方で賑わいます。
1-3 雨飾山(あまかざりやま)
長野県と新潟県の県境に位置する、標高1,963mの雨飾山。
夏は濃い緑と多くの花々が魅力で、秋になると一面の紅葉を楽しめるスポット。
登山コースは主に「小谷温泉コース」と「雨飾温泉コース」の2つ。小谷温泉コースのスタートは長野県側で、雨飾温泉コースの入り口は新潟県側です。
どちらのコースも4時間程度で登頂することができます。
1-4 八ヶ岳(やつがだけ)
長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳は、赤岳や天狗岳など魅力的な山々の大火山群。
八ヶ岳は夏沢峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳に分かれます。
北八ヶ岳の山々は以下の通り。
- 箕冠山 (2,590 m)
- 根石岳 (2,603 m)
- 天狗岳 (2,646 m)
- 中山 (2,496 m)
- 丸山 (2,330 m)
- 麦草峠 (2,127 m)
- 茶臼山 (2,384 m)
- 縞枯山 (2,403 m)
- 雨池山 (2,325 m)
- 三ツ岳 (2,360 m)
- 北横岳(横岳)(2,480 m)
- 大岳 (2,381 m)
- 双子山 (2,224 m)
- 大河原峠 (2,093 m)
- 蓼科山 (2,530 m)
- スズラン峠 (1,720 m)
それぞれに魅力がありますが、北八ヶ岳はなだらかで原生林と池沼が広がる女性的な山容が特徴。
南八ヶ岳の山々は以下の通りです。
- 赤岳 (2,899 m)
- 編笠山 (2,524 m)
- 西岳 (2,398 m)
- 三ッ頭 (2,580 m)
- 権現岳 (2,715 m)
- 中岳 (2,700 m)
- 阿弥陀岳 (2,805 m)
- 横岳 (2,829 m)
- 硫黄岳 (2,760 m)
- 赤岩の頭 (2,656 m)
- 峰の松目 (2,567 m)
- 夏沢峠(2,429m)
南八ヶ岳は、2000m級の鋭い岩峰や急登が続く男性的な山容と言えます。八ヶ岳の中で最も最高峰なのが標高2,889mの赤岳です、
登山初心者であれば北八ヶ岳、上級者であれば南八ヶ岳がおすすめです。
1-5 霧ヶ峰(きりがみね)
日本百名山の一つにも数えられる霧ヶ峰。
標高は1,952mで北アルプスや南アルプス、八ヶ岳などが望むことができます。天候によっては富士山も眺望できるスポットです。
百花繚乱の高山植物と美しい湿原を楽しむことができ、登山初心者から上級者まで多くの方に親しまれています。季節によってさまざまな高山植物を楽しむことができ、花の百名山にも選出されている程。
春(5〜6月)であればレンゲツヅジが美しく咲き誇り、ショウジョウバカマ、サクラスミレ、スズランなどの花々も楽しむことができます。
夏(7〜8月)の主役はニッコウキスゲ。その他にはホタルブクロ、コオニユリ、キンバイソウなどが有名です。
秋(9〜10月)はススキが草原一面に広がり、登山者を魅了します。マツムシソウやリンドウ、ワレモコウなども楽しめます。
ハイキングコースもあれば、歩きごたえがある登山コースも用意されています。どれも霧ヶ峰の魅力を楽しめる人気コースです。
2 新潟県の登山スポット
2-1 平ヶ岳(ひらがだけ)
平ヶ岳は標高2,141mで、新潟県と群馬県にまたがる日本百名山の一つ。
山頂部分が平坦で広大な湿原が広がっており、山頂からは尾瀬の山々が望めます。
登山コースは往復でおよそ12時間程度かかります。さらに平ヶ岳は自然保護区域のため、山小屋などはありません。
日本百名山の中でも日帰り登山の最難関と呼ばれる程です。
体力に自信がないと難しいので、登山初心者であれば避けた方がいいでしょう。
2-2 巻機山(まきはたやま)
日本百名山にも選出されている巻機山。新潟県と群馬県の境に位置した、標高1,967mの山です。
山頂には御機屋(おはたや、おばたや)と呼ばれる場所があり、機織りの姫が住むと言われています。
そんな山頂からの絶景は格別で、豊かな高山植物も魅力的。
登山ルートは、主に以下の3つです。
- 井戸尾根コース(中級者向け)
- ヌクビ沢コース(上級者向け)
- 裏巻機コース(上級者向け)
井戸尾根コースが一般的ですが、約8時間程度かかります。またヌクビ沢コースと裏巻機コースは上級者向けで、足場が悪く道を見失いやすいため注意が必要です。
登山における経験や技術、体力が求められる難易度の高いコースです。
2-3 妙高山(みょうこうさん)
妙高山は標高2,454mで、新潟県妙高市に位置しています。
日本百名山に選出しており、秀麗な山容から越後富士の異名を持つ新潟県を代表する山の一つ。
登山ルートは主に3つ。
初級者向けの大谷ヒュッテ往復コースは、日帰りトレッキングにおすすめ。途中までスカイケーブルを使用し歩行時間は約2〜3時間程度です。のんびり歩くにはちょうどいいコースでしょう。
妙高登山往復コースは中級者向けのルートで、約7時間程度は必要です。
中級者向けルートには、妙高登山燕温泉コースも用意されています。スカイケーブルを利用し、下山は燕温泉へ下るコース。歩行時間は7〜8時間程です。逆ルートも可能で、その場合はおよそ7時間程度歩く必要があります。
2-4 火打山(ひうちやま)
標高2,462mの火打山は、日本百名山にも選出している山の一つ。
豊かな高山植物も魅力で、季節によって変化し楽しませてくれます。
山頂からの眺望は北アルプスや富士山などが望めます。また日本海に浮かぶ佐渡島も見渡せる絶景です。
登山コースは主に2つ。
笹ヶ峰ルートは山頂まで約5時間で、登山中級者向けのコース。
もう一つは燕温泉コースで上級者向けで、山頂まで8〜9時間程度かかる難易度の高いルートです。
山頂からの眺望は秀逸で、間近には荒涼とした焼山や、日本海に浮かぶ佐渡島を楽しむことができます。
2-5 高妻山(たかづまやま)
新潟県と長野県を跨ぐ高妻山の標高は2,353m。
日本百名山の一つで、高山植物を楽しめることが魅力。
トガクシショウマやシラネアオイなどの高山植物を楽しめることが魅力。
また山頂からの眺めの美しさも格別で、視界を遮るものがない360度の大展望を楽しむことができます。
登山口から山頂までのコースは長く険しく、登山上級者向けと言えます。鎖場や岩場、長い尾根歩きなど危険な箇所もあるので注意が必要です。
そんな登山コースにも可憐な花々が咲いており、山の厳しさと美しさの両方を楽しめる名峰です。
3 富山県の登山スポット
3-1 剱岳(つるぎだけ)
富山県に鎮座する剱岳は標高2,999mの山。
日本百名山の一つで、切り立った岩と深い谷筋が刻まれた立ち姿で、「岩と雪の殿堂」と謳われています。
険しい岩場のルートが多く、岩登りの基礎的な技術を習得していることが必須の難易度が高い山です。
山頂からの眺めは遮るものはなく、北アルプスや南アルプス、富士山も望むことができます。
3-2 立山(たてやま)
立山は富山が誇る名山の一つで、百名山にも選ばれています。
富士山、白山と共に日本三霊山の一つに数えられ、古くから山岳信仰の山として栄えてきました。
立山は雄山(おやま)大汝山(おおなんじやま)富士ノ折立(ふじのおりたて)の3つの峰からなる連峰の総称です。この3峰の中で最高峰なのは3,015mの大汝山。
多くの登山コースが用意されているので、初心者からでも楽しめます。
3-3 水晶岳(すいしょうだけ)
百名山の一つでもある水晶岳の標高は2,986m。
山名の由来は水晶が採取されることからきていますが、水晶岳の上の部分が黒っぽいため別名「黒岳」とも呼ばれています。
水晶岳には直接登るルートは無く、他の山を縦走して登頂する必要があります。
比較的アクセスしやすいコースは、新穂高温泉からスタートするルート。ただ距離が長くなるため、宿泊が必要です。
1泊2日で、歩行時間は14時間程度。また登山におけるスキルも必要です。
他にもコースはいくつかありますが、どれも険しいルートになることを覚えておきましょう。
4 石川県の登山スポット
4-1 白山(はくさん)
標高2,702mの白山は富士山、立山に並ぶ日本三霊山の一つ。石川・福井・岐阜の3県にまたがる山です。
古くから信仰の山として知られており、これまで多くの人々に親しまれてきた名峰です。
豊かな高山植物が有名で、別名「花の山」とも呼ばれている程。登山ルートは整備されているので、初心者の方でも楽しめることができます。
4-2 笈ヶ岳(おいずるがたけ)
石川県と岐阜県、富山県にまたがる笈ヶ岳の標高は1,841m。
笈ヶ岳の登山コースには、他の山とは違う特徴があります。
それは無雪期の登山ルートはなく、残雪を使って山頂を目指すというもの。そのため一般的には残雪シーズンである4月〜GWの極めて短い期間に登られることが多いです。
当然ながら登山スキルが高くないと難しく、毎年のように事故が発生しているので、計画する際は十分に注意しましょう。
4-3 赤兎山(あかうさぎやま)
赤兎山は石川県と福井県にまたがる山で、標高は1,629m。
丸みを持った優しい山容から、うさぎのような形に見えたことが山名の由来です。ニッコウキスゲなどの珍しい高山植物を楽しむことができ、難易度は比較的低い山です。
主な登山ルートは赤兎山登山コースで、所要時間は約2時間。距離も短く、登山初心者でも楽しめるコースです。その他にも所要時間が4時間程度かかる、小原コースなども用意されています。
5 福井県の登山スポット
5-1 荒島岳(あらしまだけ)
荒島岳は福井県内で唯一の、日本百名山に選出された名峰です。
古くから信仰の山として崇められており、別名大野富士とも呼ばれています。
標高1,523mで、新緑や紅葉のシーズンには多くの登山者で賑わいをみせます。
主な登山コースは以下の4つ。
- 勝原ルート:所要時間6時間程度
- 中出ルート:所要時間6〜7時間
- 佐開ルート:所要時間6時間程度
- 新しもやまルート;所要時間7〜8時間
それぞれの特色があり、他のコースでは味わえない魅力がポイント。山頂からは白山や北アルプス連峰の山々を望むことができます。
5-2 鷲鞍岳(わしくらだけ)
福井県に鎮座する鷲鞍岳の標高は1,010m。
山名の由来は、越前大野藩藩主が鷹狩りの猟場としてこの地を訪れたことや、山頂の稜線が馬の鞍の形をしていたことから、鷲鞍岳と呼ばれるようになったんだとか。
麓にはスキー場もあり、冬のシーズンになると登山者以外の方も多く賑わいます。
登山ルートは4時間程度かかるスキー場コースと、約3時間かかる九頭竜ダムコースなどが用意されています。
5-3 能郷白山(のうごうはくさん)
標高1,617mの能郷白山は福井県と石川県に跨る山。
能郷白山は季節ごとに花々を見られることも魅力です。
春にはイワウチワやオオバキスミレ、カタクリ、ザゼンソウなどを楽しむことができます。初夏から夏にかけては、コバイケイソウやニッコウキスゲなど緑を彩る花々が特徴です。
登山コースは主に2つ。
- 温身峠ルート:所要時間3〜4時間
- 能郷台ルート:所要時間5〜6時間
どちらも登山装備が必要で、ある程度の登山スキルが必要です。山頂からは伊吹山や恵那山、北アルプス連峰など360度の山々を見渡せます。
さまざまな魅力を持った北信越の山々
登山初心者から上級者まで幅広く楽しむことができる北信越の山々。
また同じ山でも天候や季節、登山ルートによってその表情は変化します。
雄大な山々の光景や、豊かな高山植物などを楽しんでみてはいかがでしょう。