山コーヒーを最大限楽しむためのポイント
COLUMN | 2023.02.06
登山では草花や生き物の写真を撮影することや、頂上での食事を楽しんだりする方も多いですが、コーヒーを手間隙かけて淹れて飲むことも山の醍醐味の一つ。
ふもとよりも少し気温の低い山で淹れたてのコーヒーを飲むと、体が暖まることでリラックスすることができます。場所によっては湧水や清流から水を汲んでコーヒーを淹れることもできるでしょう。
じっくり淹れたコーヒーを楽しむことで、充実した特別な時間を過ごすことができるはず。
今回は山でコーヒーを楽しむためのポイントや道具などについてご紹介していきます。
1 山でコーヒーを飲む5つの方法
山でコーヒーを飲むには大きく分けて5つの方法があります。
- ミル挽き…その場でコーヒー豆をミルで挽いき、ドリップする本格的な方法。道具や手間はかかりますが、挽きたての香り高いコーヒーを楽しむことが可能です。
- ドリップバック…市販のドリップバックにお湯を淹れる方法。ミル挽きよりも味は劣るものの、手軽においしいコーヒーを楽しむことが可能です。
- インスタントコーヒー…お湯に入れるだけの簡易さが魅力のインスタントコーヒー。いろいろ凝るのはちょっとめんどくさいなという方におすすめです。
- 水筒に入れて持参する…事前に家で淹れたコーヒーを水筒で持ち運ぶという方法。淹れたての感動こそ薄いですが本格的なコーヒーを手軽に飲むことができます。
- 山荘で購入…山荘がある場合はそこで購入するのも手です。手間なくコーヒーを飲むことができます。
もちろん良し悪しがあるので、自分にあった方法を選びましょう。
2 山でコーヒーを楽しむために必要な道具と注意点
まずは山コーヒーに必要なものから見ていきましょう。
- ケトル(またはコッヘル)
- ドリッパー&フィルター
- ミル
- コーヒー豆(保存容器)
- コーヒー受け(カップまたはボトル)
- ガスバーナー類
インスタントコーヒーでもいいのですが、豆から挽くとなるとアイテム数が多くなってしまいます。
どのような山でも気軽に持って行けるように、選ぶときにチェックしておきたいポイントを確認していきましょう。
2-1 体力温存のために軽い道具を選ぶ
登山では体力温存のためにも軽量化が大事。低山ではコーヒーを楽しむために多少重い道具でも耐えることができますが、テント泊や険しいアルプス系の山なのであればできるだけ荷物の重量を削りたいところ。
しかし目の前に広がる壮大な景色を眺めながらコーヒーを飲みたいもの。軽量化のために娯楽や嗜好品を削ってしまうのはちょっと寂しいかもしません。だからこそ、どんな山にも持って行きたいと思えるなるべく軽いものを探すことが大切です。
2-2 収納性
ミルで豆を挽いてコーヒーを淹れるとなると道具が多くなってしまいます。そのため、なるべくまとめてコンパクトに収納できることが重要です。
- スタッキングしやすいアイテム
- 薄くたためるアイテム
などを意識して探してみるのがおすすめ。
ケトルだけはどうしても大きくなってしまいますが、ケトル内にアイテムを収納することができればスペースを有効活用することが可能です。
3 山で美味しいコーヒーを淹れるための7つの手順
ここからは美味しいコーヒーを楽しむための手順をご紹介していきましょう。
豆をミルで挽き、コーヒーを淹れる流れを記載していきます。
3-1 お湯の温度は95℃前後で
お湯が沸くのにはやや時間がかかるので、まず一番最初に取り掛かりましょう。
ぬるすぎるとコーヒーの味が十分に抽出できず、逆に高すぎると酸味が強いコーヒーになってしまいます。
お湯が沸騰し始めたら火を止め、表面の泡が落ち着いた時点の温度が約95℃ほど。
この温度を目安にコーヒーを淹れていきましょう。ただし標高により、沸点が変化することも。山での徹底的に温度を管理することは困難なため、あまり神経質になりすぎないようにお湯を沸かしましょう。
3-2 コーヒー豆をミルに入れる
一杯分の目安は大体10g~13gほど。好みの濃さなどによっても変わってくるため、一杯分の量がどれくらいなのかを事前に家で確認しておくとスムーズです。
また、必要な量だけを小分けにして持参するのもおすすめです。
3-3 焦らずゆっくりと豆を挽く
いよいよコーヒー豆を挽く段階に。
決して焦らずゆっくりと挽きましょう。急いで回すとコーヒーに熱が加わり味が落ちてしまうことがあるためです。
3-4 コーヒー豆の粗さに注意
ペーパードリップの場合は「中挽き」がおすすめ。
大体グラニュー糖位の粒の大きさが中挽きの目安。
ミルの種類によって、豆を挽く粗さの調整の方法が異なるので事前に確認しておくと安全です。
3-5 ペーパーフィルターを折り、セットする
フィルターの種類はドリッパーの形状によって変化します。味や使いやすさに差が出てしまうので適したフィルターを選びが大切です。
フィルターを、ドリッパーにフィットさせるために、赤くなっているギザギザした接着部分を折っていきましょう。きちんとフィルターを折ることでフィルターとドリッパーが密着し、おいしいコーヒーを淹れる準備が整います。
3-6 コーヒーの粉を入れ、お湯を注ぐ
コーヒーの粉をフィルターに入れたら、ドリッパーを軽く揺すってコーヒーの表面を平らにしましょう。こうすることで、お湯を均一に注ぎやすくなります。
お湯を注ぐ角度は90度になるように意識し、フィルターの壁面などからお湯をかけないように注意しましょう。「の」の字を描くように、ゆっくりと細く注いでください。
3-7 コーヒーを蒸らす
お湯を注ぐとコーヒーのガスで粉が膨張します。このタイミングで一旦お湯を注ぐのを止めましょう。
コーヒーに含まれるガスを放出させてコーヒーとお湯をなじみやすくします。これを「蒸らし」と呼び、おいしいコーヒーを抽出するために欠かせないプロセスです。
水面が上から1/3程度減ったら、泡が消えないうちに、ゆっくりお湯を注いでいきましょう。
注いでは止めを何度か繰り返して、コーヒーをゆっくり抽出していきます。
4 山でコーヒーを飲むときの2つの注意点
登山でのコーヒータイムは非常に豊かな時間ですが、山でのルールを守って楽しむことが大切です。
自分が困らないためにも、他の人に迷惑をかけないためにも次の2つの注意点を意識してみてください。
4-1 トイレが近くなることを意識
コーヒーを飲み過ぎてしまうとお手洗いの心配も出てくるので注意が必要です。コーヒーに利尿作用があるためトイレが近くなってしまうかもしれません。
山の中ではトイレが見つからないこともあるため、コーヒーを楽しむためには場所を選ぶようにしましょう。
行動中はできるだけトイレに行かないことが理想的なので、コーヒーを飲むタイミングはあらかじめ検討しておきましょう。
4-2 コーヒーを淹れる際に出たゴミは持ち帰る
コーヒーをドリップした際に出てしまうコーヒーのカスやゴミはきちんと持ち帰りましょう。
もしコーヒーが残ってしまっても山に捨ててはいけません。
ティッシュペーパーで吸い取って持ち帰ってください。
ルールを守って美味しい山頂コーヒーを楽しもう
山で飲む挽きたてのコーヒーは、特別な味わいがあるもの。山から見える景色であったり、登りきった達成感がよりコーヒーを美味しくしてくれるのかもしれません。
景色を眺めながらコーヒー豆を挽き、香り豊かな挽きたてのコーヒーを飲めばきっと山コーヒーの虜になってしまうはず。
まだ山でコーヒーを楽しんだことがない方は是非一度チャレンジしてみてくださいね。