四国のエリア別に人気登山スポットを紹介
COLUMN | 2023.06.06
自然豊かな景色を楽しむことができる四国地方。
山や川、海など国内でも有数の自然美を誇るスポットが多く存在します。
四国地方には人気の登山スポットも多く、登山初心者から上級者まで幅広く親しまれています。また、四国地方には歴史的建造物も残っており、登山と観光を含めて楽しまれる方も少なくありません。
そこで今回は四国地方の登山スポットにフォーカスし、地域ごとに紹介します。
1 愛媛県の登山スポット
1-1 笠取山(かさとりやま)
四国の西に位置する山塊「大川嶺連峰」。その中で標高1,562mを誇り、最高峰の山が笠取山。
愛媛県を代表する山の一つで、四国百名山の一つに数えられています。
笠取山と大川嶺をつなぐ稜線は、標高差100mにも満たないハイキングコースなので、ファミリーでも楽しめるスポット。
登山道は整備されているため、登山初心者でもチャレンジしやすいです。ミツバツツジやブナ林などの自然を堪能できることが魅力。山頂からは四国カルストや石鎚連峰、瀬戸内の島々などを一望することができます。
1-2 瓶ヶ森(かめがもり)
愛媛県と高知県にまたがる瓶ヶ森。南に位置する男山と、北に位置する女山の2つのピークがある双耳峰です。
瓶ヶ森の名称は、山頂西側の湧水のたまる瓶壺 (かめつぼ)に由来。日本三百名山で四国百名山の一つに数えられており、標高は1,897mで瓶ヶ森最高地点は女山です。
山頂付近は笹で覆われた平原のような地形で、「四国のパノラマ台」とも呼ばれているほど。瀬戸内海を一望できる絶景スポットです。
標高が高いため、初心者には難しいと嫌煙されがちな登山スポットですが、そんなことはありません。
山頂までのルートは整備されており、初心者でも歩きやすいコースになっています。アップダウンも少なく、1時間程度で登頂できるので安心です。それでいて本格的な秘境感を堪能することができ、自然や絶景を楽しめることも魅力。
男山と女山の2つのピークを通る登山コースは、時計回り・反時計回りが用意されています。どちらでも登頂にかかる時間は1時間程度。
男山の山頂は、その名の通り切り立っており無骨な雰囲気を感じられます。
一方女山は、なだらかな笹原が特徴的な山頂。そこからの景色は絶景で、360度の大パノラマを堪能することができます。四国地方に位置する名山や、瀬戸内海や太平洋が広がる贅沢なローケーションです。
1-3 石鎚山(いしづちやま)
古くから山岳信仰の山として知られてきた石鎚山。
日本百名山および日本百景に選出しており、日本七霊山の一つでもあります。別名、霊峰石鎚山とも呼ばれている山です。
石鎚山という名前で知られていますが、実は石鎚山という名前の山は存在しません。
頂上社がある標高1,974mの弥山と、西日本最高峰の標高1,982mの天狗岳、その先にある標高1,982mの南尖峰を総称して石鎚山と呼ぶんだとか。
山頂には石鎚神社山頂社や大元社などの神社仏閣があり、瀬戸内海や中国地方、九州地方の山々まで遠望することができ絶景を楽しめます。
石鎚山には、いくつかの登山ルートがあります。初心者から上級者まで楽しめる登山コースが用意されています。
初心者であれば、成就社コース・土小屋コースがいいでしょう。どちらも登頂までは2〜3時間程度で、ルートも整備されているので安心です。
登山に慣れている方であれば、面河コースや堂ヶ森・二ノ森コース。どちらのルートも登頂まで5時間以上はかかるので、それなりの道具や装備などが必要になる登山コースです。
山頂からは瀬戸内海や中国地方、九州地方の山々まで遠望することができ絶景を楽しめます。
石鎚山は登山やハイキングだけではなく、キャンプなどのアウトドアを楽しむのにも最適な山です。シーズンになると、登山客以外の多くの方も訪れます。
2 香川県の登山スポット
2-1 飯野山(いいのやま)
愛媛県西予市に位置する飯野山。標高は422mと小さな山ですが、新日本百名山または四国百名山にも選定されています。
標高422mにちなみ2009年より、4月22日を「讃岐富士の日」として制定。毎年「里山まつり」を開催し、山開きのタイミングでもあります。
なだらかな裾野が美しく、讃岐富士とも呼ばれているほど。往復にかかる時間は2時間程度なので、登山初心者にも人気の山です。
ナラ類やヤマザクラなどの広葉樹が広がり、標高100m以上は瀬戸内海国立公園、風景林に指定されています。
山頂には”おじょもの足跡”と呼ばれる巨大な岩が残っています。これは飯野山をつくったと言い伝えられている大男(おじょも)にまつわる伝説が由来。
山頂からは讃岐平野の山々と、瀬戸内海を望めます。
また山頂からの絶景ではありませんが、富士山で見られるダイヤモンド富士と呼ばれる自然現象が見られることも。これは飯野山の山頂から昇る太陽が水面に映り込み、さのサマが2つのダイヤモンドのようにきらめくというもの。
見られるタイミングは4月中旬と8月下旬の数日間で、なおかつ早朝約5分間程度と貴重な景色として注目。四国八十八景にも選出されており、全国から多くの方が訪れる絶景スポットとして人気を集めています。
飯野山の主な登山コースは、飯野町ルート・坂出ルート・飯山町ルートの3つ。
最も利用者が多いのが西面の飯野町ルートですが、どのルートも整備されているので初心者でも安心して登山を楽しむことができます。
登山時期のおすすめは、モモやサクラの開花期にあたる春。登山コースの途中には多くの自然を楽しめることが魅力です。
2-2 竜王山(りゅうおうざん)
竜王山は香川県と徳島県の県境に位置し、大滝大川県立自然公園に指定されています。
竜神を祀った神社が山の麓にありますが、元々は山頂にあったことから竜王山と呼ばれるようになりました。竜王山は別名鷹山とも呼ばれていますが、それは高松藩主の鷹狩をした場所と伝えられていたことが由来なんだとか。
讃岐山脈の中央にある最高峰で、2つの峰が特徴。東の峰は讃岐竜王と呼ばれ標高は1,058m。西の峰は阿波竜王と呼ばれており、標高は1059.8mです。
複数の登山コースが用意されており、頂上までの道のりは1時間程度。登山道は整備されており歩きやすくなっているので安心です。山頂には展望台があり、辺りの景色を見渡すことができます。
3 徳島県の登山スポット
3-1 剣山(つるぎさん)
日本百名山の一つでもある剣山。標高は1,955mで西日本2位の高さを誇ります。
山頂まではリフトを利用することもでき、登山道も整備されているので初心者でもチャレンジしやすい山です。山名とは異なる女性的な山容で、山頂は広くゆるやかで笹原が広がります。
剣山は、四季折々の自然を楽しめることが魅力の一つ。
春には「山開き」の神事が開かれるタイミングで、本格的な登山シーズンを迎えます。山並みは初々しい新緑に包まれており、春の訪れを感じられるでしょう。
夏になると、キレンゲショウマやシコクフウロなどの高山植物が咲き誇ります。特にキレンゲショウマの群落の大きさは剣山が日本一と言われているほど。
秋は紅葉シーズンを迎え、冬は樹氷や山頂からの雲海などが絶景ポイント。こうした絶景が一年を通して見られるのも、剣山の醍醐味です。
登山コースは複数あり、自分の体力やレベルに応じてルートを選びましょう。
道中には日本百名水に選出されている「御神水(おしきみず)」が湧き出ている場所や、天地一切の悪縁を断ち、現世最高の良縁を結ぶといわれる「大劔神社」などがあります。
また大劔神社の裏手には、御神体である巨大な「御塔石(おとうせき)」が鎮座しており、パワースポットとしても注目を集めています。
そんな剣山の山頂からは、四国の山々や瀬戸内海などを見渡すことが可能です。日帰りで登山を楽しむのが一般的ですが、山頂近くの山小屋に宿泊し、星空鑑賞や朝焼けを楽しむなんて過ごし方も人気を集めています。
初級者から上級者まで、多くの登山者が訪れる人気スポットです。
3-2 三嶺(みうね)
三嶺は徳島県と高知県に跨る名峰。
標高は1,894mで、日本二百名山および四国百名山に選ばれている山の一つです。四国でも笹原の稜線の美しさが群を抜いており、多くの人を魅了しています。
自然が多く7月頃には、国の天然記念物のミヤマクマザサとコメツツジの群落を楽しむことができます。また三嶺は人の手が入りにくく、数多くの原生林が残っていることも魅力の一つ。
多くの自然と会話をしながら、静かに登山を楽しむことができます。
登山ルートは複数用意されており、徳島県側からは名頃コースと菅生コースの2つ。高知県側からは堂床を起点としたコースが、幾つか用意されています。
高知県側からスタートするコースはいずれも、初心者には難易度が高いので避けた方がいいでしょう。
名頃コースと菅生コースは、山頂までに山小屋も充実していますが、所々難所があるので注意してください。頂上からは四国の山並みや、土佐湾を眺めることができます。
3-3 石立山(いしだてやま)
徳島県と高知県の県境に位置する石立山。標高1,708mで、四国百名山の一つ。
四国で最も険しい山としても有名で、西峰付近にそそり立つ石灰岩の岩鋒「捨身嶽」の迫力はまさに圧巻です。
登山道は整備されておらず、不安定な浮石が無数に転がります。落石等にも注意を払いながら、山頂を目指さなければいけません。
登山初心者にとってはチャレンジが難しい山ですが、自然も多く魅力が詰まっている山です。
山頂までの道中にはビャクシンの群落やブナ、ウラジロモミなどの天然林風景を望むことができます。また季節によって表情が変わることも魅力の一つ。春は新緑とツツジなどの開花、秋は紅葉が美しく多くの登山家で賑わいます。
山頂からは四国の山々や太平洋、瀬戸内海を一望することができます。
4 高知県の登山スポット
4-1 伊予富士(いよふじ)
高知県と愛媛県に跨る伊予富士。日本三百名山に選ばれている名峰。
標高は1,756mで、石鎚連峰の一峰です。
山名に“富士”がついているものの独立峰ではありません。日本各地に存在する郷土富士の多くは独立峰で、なおかつ富士山の山容に似ていることから名付けられていることがほとんど。
それに対し、伊予富士は独立峰でもなく見る方向によっては富士山を感じられる箇所もありますが、なんだか控えめな存在。
しかしながら、山頂からの大展望は魅力的で高い人気を誇ります。四国の山々はもちろんですが、瀬戸内海など360度パノラマを満喫できます。
登山道は整備されており、初心者でも安心です。時期は4〜10月がおすすめですが、季節によっては難易度が高くなる場合も。
伊予富士の登山は、冬場に吹き付ける寒くて強い風が発生することも少なくありません。冬にだけ見られる幻想的な自然現象ですが、アイゼンなど冬山用の装備が必要です。
4-2 寒風山(かんぷうざん)
寒風山は標高1,763mの山で,、四国百名山の一つ。かつては「さむかぜやま」と呼ばれ親しまれていました。
登山道は整備され、2時間程度で頂上に辿り着くことができます。
四季折々の自然が魅力で、春はアケボノツツジやシャクナゲといった花を楽しめます。また冬の樹氷や春の霧氷は非常に見応えがあり、1年を通して多くの登山者が訪れる人気スポット。
山頂からは近隣の山々を望むことができ、さらには太平洋や瀬戸内海まで一望できます。
4-3 手箱山(てばこやま)
四国百名山の一つでもある手箱山。
石鎚山脈に属する山で、標高は1,806m。高知県では三嶺など県境にある山を除けば、単独で高知県内に位置する山としては最高峰です。
江戸時代には土佐藩の御留山に指定されていました。多くの自然が残っており東側の尾根沿いのブナ林や、山頂付近の稜線上には笹原で覆われています。また北側斜面には、一部ダケカンバ林も存在しています。
登山コースは複数あり、初心者でも挑戦しやすいルートが用意されています。
ただ場所によっては登山に関する技術が必要です。また冬場は積雪する可能性が高いので、アイゼンやラッセルなどの道具を準備しておくべきでしょう。
山頂からは近隣の山並みや瀬戸内海、太平洋を望むことができます。
季節や天候によって変化する四国の山々
四国には日本百名山や、日本二百名山に選定されている山々をはじめ、多くの登山スポットがあります。
自然が豊かなので、登山をしながら植物や景色などを楽しめることが魅力。その自然美は季節や天候によって変化し、わたしたちを楽しませてくれます。
この機会にぜひ、四国地方への登山を計画してみてはいかがでしょう。