春登山の注意点や必要な装備について
COLUMN | 2023.03.02
冬が終わりを迎えつつあり、暖かな春の空気を楽しめる日が近づいてきました。本格的な春が訪れたタイミングで、登山を楽しみたいと考える方も多いでしょう。
春山は冬山よりも暖かく歩きやすい反面、注意しなければならないこともいくつか存在します。今回は、春山登山を安全に楽しむためのポイントについて、おすすめの服装・装備も含めて解説します。
1 春山登山は天気の変化と寒暖差に注意
春に限った話ではないものの、山の天候はかわりやすいといわれています。天気が不安定になりやすく、1〜2日単位で天気が変わるのが春山の特徴です。
春になったばかりの3月ごろは、雪が降る可能性もゼロではありません。春山登山を実行する際は、雨や雪が降ってもスムーズに登り続けられる準備が大切です。
また、春は日中が暖かく、朝晩冷えるのが特徴の季節です。春山の場合は特にそれが顕著で、朝晩に登山をするのであれば、ふもととの寒暖差に注意しなければなりません。
一気に冷え込むことを想定し、体調を崩さず登山を楽しめるような服装・装備を整えておくことが大切です。春山登山におすすめの服装・装備については記事の後半で解説しています。
春山登山における天気と寒暖差ですが、登山を予定する山の標高によって左右されるのも特徴の一つ。1,000m級の低山と2,000〜3,000m級の高山とでは、天気の変化や寒暖差の表れ方も異なります。
低山であれば天気の変化や寒暖差に苦しめられることも少なく、雪が降ることもあるものの春らしさを感じられます。初心者の方は、まず低山から目指すといいでしょう。
一方高山の場合、雪が降ることは少ないものの、山中にまだ雪が残ってるかもしれません。念のため、冬山登山に臨む際の装備を整えて登山を実行するのがおすすめです。
冬山登山に必要な装備については、こちらの記事をご覧ください。
2 春山登山は遭難の危険性もある
冬山登山と比べて遭難の危険性は少ないとイメージされがちな春の登山。しかし、春山登山で遭難することは意外にも多いことをご存じでしょうか。
ここでは、春の登山で遭難する原因やより安全に楽しむための遭難対策を紹介します。
2-1 春山登山で遭難する原因
春山にはまだ雪が残っていることも多いため、雪崩に遭う危険性があります。雪が原因で、転落や滑落により遭難する可能性もあるでしょう。
春山は冬山と変わらない天気・気温であることも多いため、低体温症が原因の体調不良で動けなくなり、結果遭難することもあります。また、春になって冬眠から目覚めた野生動物と遭遇し、怪我を負わされて動けなくなることも春山で遭難する原因です。
冬山と比べてリスクが少ないと油断し、軽装備かつ無計画な登山を実行することで遭難する場合もあります。なぜ春山で遭難するのか、ここで挙げた原因を把握し春山登山での遭難を防止してください。
2-2 春の登山を安全に楽しむための遭難対策
上述した「遭難の原因」が常に隣り合わせだと認識しておくことで、春山登山の危険性を把握したうえで登山ができます。
安全に配慮した装備・歩き方を意識できれば、遭難の原因を回避できるでしょう。後ほど紹介する春山登山に適した服装や装備品をリストアップし、危険性を回避した状態で春山登山を楽しんでください。
3 春山登山に適した服装
ここでは春山登山に適した服装を、以下のカテゴリでそれぞれ紹介します
- ベースレイヤー
- ミドルレイヤー
- アウター
- パンツ
- シューズ
登山における服装の基本は「重ね着」を意味する「レイヤリング」です。こまめに脱着できるよう準備しておけば、天気や気温の変化に対応しやすくなります。実際に春山登山を計画するうえで、必要な知識として押さえておきましょう。
3-1 ベースレイヤー
ベースレイヤーとは、直接肌に触れるアイテムを指す言葉です。汗をかくと想定し、吸水速乾性のあるTシャツなどを取り入れましょう。
汗をかいた状態のままでいることは、気温が高くても低くてもリスクになります。ポリエステルやウールなど、汗を素早く吸い取って発汗する素材のアイテムを取り入れましょう。
3-2 ミドルレイヤー
ミドルレイヤーとは、ベースレイヤーの上に重ねる保温着。まだ肌寒いことを想定し、薄手のダウンジャケットやフリースを用意しましょう。
ただし、ベースレイヤー同様、汗をかいた場合のことも考え、吸水速乾性のあるものを用意することも大切です。ダウンジャケットやフリースが手元になければ、薄手のパーカーやシャツを重ね着する形でも問題ありません。
3-3 アウター
冬山と遜色ないほど寒い山を登る場合は、ミドルレイヤーの上に重ねるアウターを用意するのがおすすめです。
ただし、登山中に暑くなることも想定し、コンパクトに折りたためるような持ち運びに配慮したアウターを選択しましょう。もしくは、天気が変わりやすいことを視野に入れ、レインウェアをアウターとして用意するのもおすすめです。
3-5 パンツ
春山登山時のパンツは、オールシーズン履ける長ズボンもしくはタイツと半ズボンを着用するのがおすすめです。
擦り傷や虫刺されのリスクを回避するため、半ズボンのみの着用や生足を出すスタイルは避けてください。気温が低くなる可能性にも配慮するのであれば、裏起毛やフリース生地のアウトドアパンツを用意しましょう。
3-6 シューズ
春山登山には、雨天時でも対応できる防水仕様のシューズを用意してください。当日雨が降っていなくても、前日の雨で道がぬかるんでいる可能性もあるため、シューズの防水機能は必須です。
また、岩場があったり、険しい道だったりする登山の場合は、トレッキングシューズを用意するのもおすすめです。ちなみに春山登山時の靴下は、荷物の重さが足に「負担」としてかからないよう、クッション性のある厚手のものを用意してください。
4 春山登山に必要な装備一覧
春山登山時は服装だけでなく、以下に挙げる装備品を用意したうえで臨むことが大切です。
ここで紹介した装備一覧を、ご自身が春山登山をする際の準備にお役立てください。
- 携帯電話
- モバイルバッテリー
- 地図
- コンパス
- リュック
- リュックカバー
- 帽子
- サングラス
- 手袋
- 日焼け止め
- ヘッドライト
- 懐中電灯
- 簡単な調理器具
- 行動食
- サコッシュ
- ティッシュ
- タオル
- 消毒液
- ゴミ袋
- 寝袋などの宿泊用品(一泊する場合)
春山登山は冬山と同様のリスク回避が重要
春山は冬山よりも暖かく歩きやすいため、登山初心者にもおすすめです。ただし、冬山同様に天気や気温の変化も激しく、遭難の可能性があることも視野に入れておきましょう。
また今回紹介している、春山登山に適した服装や装備品を把握・用意することも大切です。本記事を参考に事前準備を行い、美しい花や若葉を楽しめる春山登山の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。