登山時に注意すべき日焼け対策やアフターケア
COLUMN | 2023.07.04
登山を楽しまれている方にとって、気をつけなければいけないことは沢山あります。
しかしながら、放置されがちなのが日焼け対策。山の日差しはとても強く、日焼け対策を行わずに登山をすると後々痛い目に遭うことも少なくありません。
また、日焼けなどの言葉を聞くと夏をイメージしがちですが季節を問わず注意が必要なんです。夏はもちろんですが、冬山でも雪の反射により日差しが肌を襲います。
長時間登山を行うこともあるので、日焼け対策は必須と言えます。そこで今回は、登山の際に行うべき日焼け対策や、登山後のアフターケアについて学んでいきましょう。
1 日焼けをすることは火傷を負うのと同じ
せっかくの楽しい登山だけども、日焼け対策を怠ってしまい痛い目をみたことがある方も多いはず。
肌が火傷のようにただれてしまったり、脱水症状を引き起こすなどのリスクも考えられます。また肌への影響も忘れてはいけません。肌のシミやシワの原因になることも覚えておきましょう。
そもそも日焼けとは「日光皮膚炎」と呼ばれ、紫外線を多量に浴びることで肌が炎症を起こしている状態を指します。
日光に長時間あたると、肌が赤くなりヒリヒリとした痛くなる場合があります。さらに皮膚が腫れ、時には水脹れになることもあるでしょう。
つまり、直火が原因ではありませんが、日焼けはれっきとした”火傷”なんです。イメージとしては遠赤外線でじっくり肌が焼かれているような状態です。
日焼けをし、ひどい場合は皮膚科を受診し、適切な処置をしてもらいましょう。
2 夏だけではない日焼けのリスク
冒頭でもお伝えしましたが、日焼けは夏だけ注意すればいいものではありません。
一年の中で紫外線の量が最も多く、体への影響が高かくなりやすいのは7〜8月。
日差しが強い夏であれば紫外線量が多くなるのはイメージできますが、実は注意しておきたいのが4〜9月です。
紫外線の量は4月頃から増え始め、6〜8月にピークを迎えます。9月以降になると徐々に紫外線は減少していき、12〜1月に最も低くなる傾向に。
このように年間を通して紫外線は降り注ぐため、春から初夏にかけて紫外線量が増えてきていることを覚えておきましょう。
また雪が積もる冬のシーズンの登山であれば、雪の反射で上下から紫外線を浴びることになります。雪のない状態よりも2倍の紫外線を浴びることになるので、言うまでもありませんが日焼け対策は必須なのです。
3 登山時の日焼けが危険な理由
肌トラブルにも繋がってしまう紫外線。登山時は日常よりも標高が高くなるので、有害な紫外線を受けやすい環境です。
実は紫外線の量は標高が高くなればなるほど、増加すると言われています。
具体的には標高が1,000m上昇するにつれ、紫外線の量は約10〜12%増加するんだとか。これは空気の澄み具合などによって、変化するため更に紫外線が強くなる場合もあります。
肌への影響はもちろんですが、日差しを浴び続けると体力の消耗や熱中症のリスクも考えられるでしょう。
このように登山時の日焼けは、肌トラブルだけではなく人体にも大きく影響するので注意が必要です。
4 登山時に実施すべき日焼け対策
登山時における日差しや紫外線などのリスクをお伝えしましたが、ここでは対策方法について触れていきます。
4-1 日焼け止め
前述した通り、標高が高くなればなるほど紫外線の量は多くなる傾向にあります。
登山時は季節を問わず日焼け止めを塗りましょう。
稀に肌が黒くなっても構わないという理由で日焼け止めを塗らない方も少なくありません。
しかしながら日焼け止めを塗る理由は、肌が黒くなるのを防止するためだけではないのです。本来の目的は、真っ赤になるような強い日焼けを防ぐために使用します。
日焼け止めはさまざまな種類が販売されていますが、登山ではウォータープルーフで「SPF50」以上の日焼け止めを推奨します。さらにシワやたるみなどを予防したい方は「PA+++」を選ぶといいでしょう。
登山時は汗を大量にかくので、2〜3時間を目安にこまめに塗り直すとより効果的です。また耳や首の裏は忘れがちなので塗り忘れに注意しましょう。
4-2 長袖着用
日差しから肌を守るために長袖を着用することも対策方法の一つ。
ただ、夏であれば全てのウェアを長袖にするわけではなく、どれか1つを長袖にするなどして体温調整にも気を配りましょう。
またトップスばかりに気を取られがちですが、ズボンにも配慮することが大切。長ズボンの着用や、ショートパンツであればタイツをレイヤリングするなどの対策がポイント。
汗冷えなどのトラブルに繋がりやすいので、速乾性の高いものを選ぶとより効果的です。
4-3 帽子などの小物の活用
小物類を活用することも日焼け対策には大切です。
登山時には以下のようなアイテムを持参するといいでしょう。
- 帽子
- サングラス
- アームカバー
- ネックゲイター
UVカット機能を搭載しているアイテムも多く、日焼け対策に効果的です。
どれも必須アイテムと言えますが、帽子はとても大切。頭を直射日光から守ることは顔などの日焼け予防につながり、熱中症対策としても有効です。頭皮のトラブルや髪が痛む原因にもなるので、帽子は必ずかぶっておくといいでしょう。
またサングラスも忘れてはいけないアイテム。
強い紫外線から目を保護してくれるので、角膜の表面が傷つき角膜炎症を発症する危険性を軽減してくれます。こちらも帽子同様に、登山の際は必ず持参しておくと活躍してくれるでしょう。
5 アフターケアもしっかりと
登山は長時間、日差しにさらされるので日焼けをしやすい環境です。
そのため、登山後は肌の保湿や水分補給など肌を労わってあげましょう。
ここでは登山後に実施すべきアフターケア方法について触れていきます。
5-1 クレンジングの使用と肌の保湿
登山時は日焼け止めをこまめに塗ることをお伝えしました。
そのため、日焼け止めの油分が肌に残っていると肌荒れなどの原因になるので、まずはクレンジングできちんと落としましょう。
日焼け止めは水だけでは、完全に洗い流すことはできません。また日焼け対策を行なっていたとしても、多少の日焼けは避けられないでしょう。
そのような場合は肌が敏感になっているので、ぬるま湯でゆっくりと時間をかけて落とすことを心掛けてください。
日差しに長時間さらされた肌は、極度の乾燥状態になっています。
肌に水分がなくなれば、荒れやすくなり肌トラブルに繋がるので化粧水や保湿クリームで保湿をしましょう。
その際、肌への刺激を軽減するためにアルコールフリーのローションなど、肌に優しいものを使用すると効果的です。
5-2 水分補給
肌への乾燥は化粧水などの使用はもちろんですが、内側からもケアしてあげることが大切。
水分の摂取量が多くなれば、肌の水分量も当然ながら上がっていきます。その際に、お茶やコーヒーなどの利尿作用のあるものは避けましょう。
水やスポーツドリンをしっかり飲むことで、肌へのアフターケアに繋がります。
また日焼けをするとビタミンA・C・Eが不足しがち。フルーツなどの食べ物やサプリを摂取することも大切な対策方法の一つです。
5-3 下山後すぐのアルコール摂取には注意
登山後は、ビールを飲むのが楽しみなんて方も多いかもしれません。
しかしアルコールは血行促進をする働きがあるので、炎症を促してしまう危険性があることを覚えておきましょう。
できれば登山後すぐにビールなどのアルコールを飲むことは、肌への影響を考えれば避けるべきです。前述したように水やスポーツドリンなどを多く摂取し、肌へのケアを済ませてからにするといいでしょう。
侮れない登山時の日焼け事情
登山時に日焼け対策は必須。
対策を怠ってしまうと肌トラブルはもちろんですが、熱中症などのトラブルにつながります。
日焼けと聞くと夏をイメージしがちですが、他の季節も注意が必要です。夏はもちろん、雪が積もったシーズンでも、雪の反射で上下から紫外線を浴びることになります。
登山時に実施すべき対策方法はもちろんですが、下山後のアフターケアも忘れてはいけません。
当記事を通して、快適な登山を楽しめるといいですね。